■成績が伸びるのは5年生から あせらずに鷹揚に構えて

 中学受験をすると決めたとき、多くのお子さんは10歳頃から塾に通います。しかし塾に入れても、成績がすぐ伸びるわけではありません。力をため、5年生の夏ぐらいから尻上がりに伸びていきます。ですから最初から心配せずに、しっかりと基礎を押さえておけば大丈夫です。最初からあせって子どものお尻をたたいたり、成績が伸びないからと右往左往したりしてはいけません。

 塾通いが始まると、家族の生活も変わります。特に上位校を目指す場合には、相当な覚悟が必要です。共働きの場合、家族で役割を分担して母親に過度な負担がかからないように話し合ってください。

 志望校に入れなかったとしても、それで中学受験をした価値が変わるわけではありません。英語と数学は、中学校からが学問としての本格的なスタートになります。そこから、がんばればよいのです。何よりも、中学受験を目指して勉強してきたお子さんの努力を「よくがんばったね」と、認めてあげてください。

森上展安(もりがみ・のぶやす)
1975 年 早稲田大学法学部卒業。森上教育研究所主宰。中学受験や中高一貫教育、学習塾の問題に詳しい。著書に『中学受験図鑑』『入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)など

(文・柿崎明子)

※AERA進学MOOK『カンペキ中学受験2021』より