腰椎椎間板ヘルニアは、痛みのピークが発症後2~3週間で、はみ出した椎間板は数カ月すると自然に吸収されるため、保存療法を3カ月ほどおこなうと、約8割の人が改善するという。そのため、足の麻痺や排尿障害などがあって手術が必要なケース、早期に治したい人、眠れないほど強い痛みのある人が手術を受けている。

 また、大学病院などの大きな病院では、掲載した主な病気以外の難しい手術を多数おこなっていることもある。

 病院選びの目安は三つある。一つ目が年間の手術数だ。神経に関わる手術のため、手術に慣れている病院を選びたい。真鍋医師は「年間50件以上が望ましい」と話す。自分の病気の手術をよく実施している病院がいいだろう。

 二つ目が、手術経験数や種類などの要件を満たした医師が認定されている制度。整形外科医が中心の日本脊椎脊髄病学会と、脳神経外科医が中心の日本脊髄外科学会が定めている指導医がある。データの「主な医師名」の欄では認定の有無がわかるようにした。17年からは、両学会の合同による新認定制度「脊椎脊髄外科専門医」ができ、少しずつ広まっている。

 三つ目が、診察の様子だ。

「画像だけでなく、筋力テスト、知覚、握力、反射の検査をして、手足を触って症状を確認したうえで手術をすすめているか。それが信頼できるポイントの一つだと思います」(和田医師)

 患者側が手術をよく理解して、治療法を選択することも大切だ。

「手術は、すべての症状が消失する魔法の治療ではありません。傷んだ神経が若返るわけではないのです。患者さんが症状に困っていて『日常生活に支障がある』『これ以上悪くなるのは困る』と思っていれば、手術をすすめます。骨粗鬆症などの持病があれば、その治療も必要です」(真鍋医師)

 診察では、残った症状の程度によってリハビリをおこなう病院などを紹介してくれるのか、術後のフォローについても確認してほしい。(文/小久保よしの)

≪取材した医師≫
第二大阪警察病院 脊椎・脊髄センター長 和田英路 医師
広島市立安佐市民病院 副院長 整形外科・顕微鏡脊椎脊髄センター部長 真鍋英喜 医師

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』より