自己ベストには遠くおよばない194・00点。合計点も291・43点でチェンとの差は広がり、2位のままフィニッシュ。5度目の優勝はならなかった。それでも、勝負師としての矜恃を見せつけた魂の4分間だった。

 初めて足を踏み入れたトリノの地。25歳の誕生日となった12月7日、フリー当日までコーチ陣が不在のハプニングもあった。だからこそ練習中に、将来的な完成を目指すクワッドアクセルに試合会場で初挑戦することができた。11歳の少年が夢を持った地で起こった事象全てが、次なる“何か”の伏線になる。「ここがまた、自分にとってのきっかけの地になった」。羽生結弦が紡ぐストーリーは続いていく。