ポンと煙が出て人が消える… 失敗から生まれた映画の撮影技術の面白さ (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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ポンと煙が出て人が消える… 失敗から生まれた映画の撮影技術の面白さ

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撮影現場にて。周防正行監督(左)と議論をかわす脚本家の片島章三さん (c)2019「カツベン!」製作委員会

撮影現場にて。周防正行監督(左)と議論をかわす脚本家の片島章三さん (c)2019「カツベン!」製作委員会

劇中の無声映画もすべて“新作”として撮り直している (c)2019「カツベン!」製作委員会

劇中の無声映画もすべて“新作”として撮り直している (c)2019「カツベン!」製作委員会

時代を感じさせる「アクション」もこの映画の味わいを深めている。映画で描き切れなかったストーリーを加えた小説版『カツベン!』。朝日文庫より、絶賛発売中! 映画『カツベン!』は12月13日全国ロードショー! (c)2019「カツベン!」製作委員会

時代を感じさせる「アクション」もこの映画の味わいを深めている。映画で描き切れなかったストーリーを加えた小説版『カツベン!』。朝日文庫より、絶賛発売中! 映画『カツベン!』は12月13日全国ロードショー! (c)2019「カツベン!」製作委員会

カツベン! (朝日文庫)

片島 章三

978-4022619938

amazonamazon.co.jp

 無声映画の時代、「暗闇のスーパースター」と呼ばれた活動弁士<カツベン>たちの生き様を、周防正行監督が5年ぶりとなる新作映画「カツベン!」で描いている。


【“新作”として撮り直した劇中の無声映画の場面はこちら】

 映画の脚本を手掛けた片島章三さんによる小説版『カツベン!』(朝日新聞出版)に収録された、周防監督との貴重な対談の一部を特別に公開する。

※「映画俳優よりも人気だった暗闇のスーパースターとは?」よりつづく

*  *  *
■劇中の無声映画は“新作”として撮り直した

周防:今回、劇中で活動弁士たちが声をあてる無声映画は、すべて新たに撮影し直したものなんです。何本かは35ミリのモノクロフィルムで撮りました。大正期にヒットした『金色夜叉』や『国定忠治』、洋画だと『椿姫』といった歴史に残る6つの名作を、元の映画のシーンを忠実に再現したり、当時の撮影技術を念頭に撮り直しました。『火車お千』や『南方のロマンス』のように、当時の映画から着想を得てオリジナルを撮ったものもあります。

片島:そのオリジナルストーリーを考えるのが結構つらくてですね(笑)。最初の脚本の段階では、劇中映画のストーリーまで書いちゃいなかったので、具体的に映画が動きはじめてから考えていったんですが……。とくに、物語の最後に出てくる「つぎはぎ映画」。この小説版を読んでくださった方にはお分かりいただけると思いますが、あれは非常に大変で。監督からもいっぱいダメ出しされましたし(笑)。

周防:えっ、俺、ダメ出しなんてしたかな?

片島:……されたような気がしますね(笑)。

周防:まあ、今回そこまでして劇中映画に力を入れたのは、100年前のリアルな大正時代をつくりたかったからなんです。あの頃は映画というものが生まれたばかりだから、上映されるフィルムは傷もなくピカピカのはず。でも今、現存する劣化したフィルムをそのまま使ったら、活動弁士が百年前のフィルムを説明しているように見えてしまう。それは避けたかった。

 ただし、フィルムにはあえて少し傷を入れています。なぜなら、その頃すでにいろんな映画館を回っていたような名作には傷も多少は入っていたに違いない。傷のつけ方も4パターンぐらい変えているんですが、新しく撮り直したほうがそういった後処理もやりやすい。洋画と邦画でちょっと質感を変えて……といったディテールまで表現できますしね。


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