低用量ピルを内服している女子を対象にした興味深い調査があります。低用量ピルを内服している、内服したことがあり、または内服を検討している4039人の15~49歳の女性に対するヨーロッパ、北米、ラテンアメリカの8カ国で実施されたオンライン調査によると、女性のほぼ3分の1が、特に性生活やスポーツ活動において月経による出血が深刻な悪影響を及ぼしたと報告し、また、女性の34%の女性が生理の頻度を2、3カ月に1回へとに変更していることがわかったのでした。

 日本ではナプキンが一般的な生理用品ですが、欧米ではタンポンが主流だといいます。さらには、最近メディアでも取り上げられている「月経カップ」を使用する欧米女性が増えてきているそうです。

 ちなみに、冒頭でご紹介したリバプール熱帯医学学校のvan Eijk AM氏らは、4つの試験をまとめて解析した結果、月経カップを使用した際に月経血が漏れる割合はナプキンやタンポンなどの他の生理用品に比べて、変わらないかむしろ低いことが示され、感染率も同程度かむしろ低いという結果が得られたと報告しています。私はまだ「月経カップ」を使用したことはありませんが、実際に使ってみないと違和感や使いやすさなどは分からないので、次はトライしてみたいと思います。

 さて、生理用品が課税対象となっていることに対して、課税廃止を訴える声が世界的に広がりをみせています。例えば、オーストラリアでは、コンドームや日焼け止めクリーム、ニコチンパッチなどの健康関連商品は非課税となっていたものの、タンポンをはじめとする生理用品は10%の付加価値税がかけられていました。女性にとって必需品である生理用品も非課税にすべきだとの声が高まり、2018年10月、課税対象から除外されることが決まりました。

 米国でも、ニューヨーク州やフロリダ州など9つの州で課税対象から除外され、カナダでも2015年に課税が撤廃されました。けれども、生理用品が非課税になっている国は、ケニア、オーストラリア、インドなど一部の国にとどまっています。

 生理についての理解が男性の間でも広まれば、日本においても生理用品が課税対象となっている現状を打破することができるのではないでしょうか。

○山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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