■好感度1位は深田恭子のラムちゃん

 なお、CM好感度順のランキングを見ると、『東京ガスの電気』のCMが1位となった。深田恭子が人気アニメ『うる星やつら』の“ラムちゃん”、寺田心が“テンちゃん”に扮し、電気代を東京ガスに切り替えないと「損だっちゃ」などとアピールするものだ。以下KDDI『au』の「三太郎」シリーズや花王『アタックZERO』の「#洗濯愛してる会」、『SoftBank』、日清食品『カップヌードル』など、上位常連ブランドのCMが顔をそろえている。多くの生活者はチケット販売の当落や猛暑・交通混雑といった課題に関するニュースに触れ、続々と完成する競技施設を目にしたりして五輪開催を徐々に実感している一方で「そうはいってもまだ1年もある」といった感覚なのか、CM好感度の勢力図に大きな変化は見られない。

 過去大会やFIFAワールドカップ時の調査を振り返ってみても、お祭りムードが本格化するのは直前もしくは開会後のようだ。まだ見ぬできごとに期待を寄せるよりも、超人的なプレーや懸命にベストを尽くすアスリートの姿、彼らに惜しみない声援を送る人々の熱量を実際に目にする方が人の心を圧倒的に突き動かすのは当然だろう。

 時期的な理由に加え、CMの訴求内容も影響しているのではないだろうか。今回は前述の通り5G導入後初の大会ということに加え、なんといっても“自国開催”という大きな前提がある。組織委員会は「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」という“3つの基本コンセプト”を掲げ、「史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会とする」としている。世界最大のスポーツの祭典を楽しむだけではなく、ホスト国としてさまざまなミッションを背負っているわけだ。当然スポンサーによるCMの訴求内容もミッション遂行に向けた宣言や、五輪の社会的な意義を再認識させるもの、社会的課題の共有と意識づけなど、エンターテインメント性の少ないものがほとんどだ。

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2012年のロンドン五輪のときは…