投手でもう一人目立ったのが飯塚脩人(習志野)だ。全てリリーフで4試合に登板し、6回を投げて被安打3、8奪三振、無失点とほぼ完璧なピッチングを見せた。

 夏の甲子園と比べてもストレートの勢い、精度がアップしており、球威で押す投球ができるのが持ち味。走者を背負った場面でよりギアを上げて三振を奪えるのはリリーフ投手としての適性の高さを感じる。西に比べると表情に出やすいのはご愛敬だが、ピッチングから精神的な強さが感じられるのもプロ向きと言えるだろう。本人は大学進学を希望すると言われているが、もし翻意してプロ入りを志望するようなことになれば、上位指名の可能性も十分に考えられる。

 野手で最も強いインパクトを残したのが石川昂弥(東邦)だ。全試合4番に座り、打率.333、1本塁打、チームトップタイの9打点をマークするなど主砲として十分な働きを見せた。高校生の場合木製バットに苦労することが多いが、石川はいち早く対応。パナマ戦では打った瞬間にそれとわかるレフトオーバーのスリーランを放ち、その長打力は世界レベルでも目立つものがあった。

 また韓国戦では相手のライトが目測を誤るほどの打球の伸びを見せるツーベースも放っており、広角に長打を放てるのは得難い長所である。今年はどのカテゴリーにも強打者タイプの選手は少ないだけに、今大会の活躍で2位候補から外れ1位、もしくは単独1位も狙えるくらいに評価は上がった印象を受ける。

 野手では森敬斗(桐蔭学園)と韮沢雄也(花咲徳栄)の二人も評価を上げた。森は1番、韮沢は3番で全試合フル出場。森は打率.320、チームトップとなる9四死球を選んで出塁率.500とトップバッターとしての役割をしっかり果たした。内角の速いボールをしっかり振り切ってライト戦に2本のスリーベースを放つなど、打撃に力強さが出てきたのも心強い。

 特にアメリカ戦では1点を先制された直後の一打で、チームに勢いを与えた。抜群の脚力と全力疾走を怠らない走塁も見事だ。韮沢はチームトップの10安打を放ち、一塁のベストナインにも選出された。スイングのバランスが良く、緩急や左右の揺さぶりへの対応力の高さは高校生トップレベル。コースに逆らわず、広角に打てるのも高打率を残せる要因だ。守備では慣れないファーストに苦しむ部分もあったが、この経験をしたことが将来にもきっと生きてくるはずだ。

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やはり凄かったあの投手