※写真はイメージ(gettyimages)
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オカルト研究家・山口敏太郎
オカルト研究家・山口敏太郎

 オカルト研究家の山口敏太郎氏が身の毛もよだつ怖い話をお届けする「真夏の都市伝説シリーズ」。「口裂け女」「トイレの花子さん」に続き、満を持して紹介する最終回のテーマは「人面犬」だ。

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 89年に日本中に大ブームを巻き起こした現代妖怪が「人面犬」である。犬の身体に人面を持ち、100キロを超えるスピードで車を追跡し、時には高速道路にも出現した。しかも、その顔はくたびれた中年のオヤジであったり、眉毛の長い老人であったりするらしく、ゴミを漁っているところを人間に注意されると「なんだ人間か」「うるさいほっといてくれ」と憎まれ口を叩いて、どこかへ立ち去ると言われている。他にも驚異的な身体能力を有しており、ビルからビルへ飛び移ったり、6メートル以上ジャンプして塀を飛び越えたりすると言われた。さらに「人面犬」は、緑色のうんちをするとも言われ、もし噛まれてしまった場合は噛まれた箇所から体が腐ってしまうと噂された。

 この現代妖怪「人面犬」の都市伝説が発生したきっかけは何だったのであろうか。一番有力な説が雑誌「ポップティーン」の編集部とライターの石丸元章氏が、投稿文に創作を加えて意図的に仕掛けたというものだ。当時「ポップティーン」は10代の女性にとってカリスマ的な人気を誇っており、その投稿欄が都市伝説を生み出した可能性は十分にあり得る。また、俳優の的場浩司氏は、読売テレビの人気番組「ダウンタウンDX」にて、「人面犬の噂は自分と仲間が作り上げたものである」と発言している。筆者は何度も的場浩司氏と共演をしており、この話は直接本人からも聞いている。

 他にも70年代に日本中でブームを巻き起こした漫画家つのだじろう氏の「うしろの百太郎」に出ていた霊能犬ゼロが時々人面になる描写があり、これが「人面犬」を生み出したと言われた。これまた筆者がつのだ氏と会食したときに本人に直接確認しており、つのだ氏も「人面犬はゼロだろう」と言明したことを記憶している。

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