試合前練習では中堅の岩崎優と並んでダッシュし、多くの会話を交わす姿があった。一軍合流直後のラファエル・ドリスには日本語混じりの英語でジョークを言って笑い合う。

 実績十分、阪神のレジェンドとも言える。アンタッチャブルな孤高の存在にも見えるが、チームへの献身が人一倍目立つ。誰よりも勝利に飢えているのだ。

 藤川球児。

 球史に残るクローザーには勝利の瞬間が似合う。マウンド上での雄叫びをもっと見ていたい。それが聖地・甲子園での日本一の瞬間なら、これほどドラマチックなことはない。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て2001年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍やホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!オフィシャルページにて取材日記を不定期に更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。