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山田孝之主演「全裸監督」ヒットの深み “無垢な汗と欲望”は時代を超える

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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時代の寵児、村西とおるを演じる山田孝之。シーズン1ではハワイロケを敢行(C)朝日新聞社

時代の寵児、村西とおるを演じる山田孝之。シーズン1ではハワイロケを敢行(C)朝日新聞社

 見ると興奮せずにはいられない。そういう作品がある。8月8日にNETFLIXで8世界同時配信が開始された山田孝之主演のドラマ「全裸監督」である。いまネット上の口コミでじわじわと広まって話題になっている。有吉弘行、いとうあさこをはじめ、多くの著名人もSNSで絶賛のコメントを残している。8月16日には新たに「シーズン2」の制作が決定したことも発表された。

「全裸監督」は本橋信宏によるノンフィクション『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)を実写ドラマ化したものだ。バブル全盛期にアダルトビデオの監督として一時代を築き、「AVの帝王」と呼ばれた村西とおるを中心にして、当時のアダルトビデオ業界の光と影が描かれている。

 ドラマの最大の魅力は、山田が演じる村西という男のキャラクターである。英会話教材の営業マンだった村西は、当時出回っていた「ビニ本」と呼ばれる成人向け雑誌に目を付けて、その制作と販売を手がけるようになる。まだアダルトビデオが普及する前の時代だったため、ビニ本にはすさまじい需要があった。村西はこの事業で大成功を収めて「ビニ本の帝王」と呼ばれるまでになるが、猥褻図画販売容疑で逮捕されてしまった。

 その後、村西は創成期のアダルトビデオ業界に足を踏み入れた。自ら監督と男優とカメラマンを兼ねて、営業マン時代に鍛えた立て板に水の話術で女優に卑猥な言葉を投げかけながら撮影を進めていった。その独特のスタイルで制作されたアダルトビデオは人気を博し、村西は時代の寵児となった。

 だが、その後も村西の波乱万丈な人生は続いた。前科7犯、借金50億、米国司法当局から懲役370年求刑――これらの衝撃的なフレーズは、これまで村西の身に起きた事実のほんの一部に過ぎない。この実在する型破りで破天荒な人間を、山田は見事に演じ切っている。特に、撮影中にあの口調でペラペラとしゃべるところなどは、村西本人が降臨しているような迫力と説得力に満ちている。

 この作品のもう1人の主人公が恵美(黒木香)である。国立大学でイタリア美術を専攻していた彼女は、留学費用を稼ぐためにアダルトビデオの世界の門を叩いた。そこで村西と出会い、撮影を通して自身の性的欲望を解放して、伝説的な女優へと成長していった。


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