見た目も涼しげなネクタリンビネガー
見た目も涼しげなネクタリンビネガー

「フルーツビネガー」を知っていますか? お酢にフルーツを漬け込むもので、保存びんがあれば自宅で簡単に作れます。お酢には疲労回復や食欲増進などの健康効果があるので、夏バテしがちなこの時期にはおすすめ! フルーツビネガーの体への効果や、作り方などを紹介します。

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 高温多湿な日本の夏。今年も一歩外に出るだけで、体力が奪われるほどの猛暑の日々が続いています。そんな夏バテ気味の体を元気づけてくれるのが「酢」。

 酢には酢酸やクエン酸などが含まれていますが、クエン酸には疲労物質である乳酸の蓄積を防ぎ、疲労を回復させる効果があると言われています。また酸味が刺激となって胃液の分泌を促し、食欲増進をしたり、脂肪を分解して体内に溜まりにくくするなど、お酢にはさまざまな健康効果があるのです。夏になると酸味の効いたものが食べたくなるのは、私たちの体の自動調整機能が、こうしたお酢の効果を求めているからでしょう。

 また近年の猛暑続きで、大きな問題となっているのが脱水症や熱中症。高温の環境に長時間いることで、人間が本来備えている体温調節機能が乱れ、体内に熱がこもったり、急激に汗をかいて、めまいや頭痛、高熱などの不調を引き起こすのが主な症状。

 人が汗をかいたときに排出されるのは水分だけではありません。塩分も排出されるため、水だけを摂って塩分やミネラル分を摂らないと、血液中の塩分濃度が低下し、筋肉のけいれんにつながることも。私たちの体は60%以上が水分だと言われています。暑さで水分を失わないために、夏の水分補給には工夫が必要なのです。

 熱中症予防の重要ポイントは「ミネラル」の補給。ミネラルとは、ナトリウム(塩分)、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのことで、体の機能を調整するはたらきなどがあります。

 昨今、熱中症対策として「塩(ナトリウム)」が必要であることは、広く知られるようになってきましたが、実はそれだけでは不十分。本当に必要なのは、「糖・塩(ナトリウム)・カリウム・マグネシウム・カルシウム」の5つの栄養素で、水分と一緒にこれらを補給することで、体のシステムが正常に働くようになります。こうしたミネラル分や、体の調子を整えるビタミン類を豊富に含んでいるのが、夏の果物。酢には果物のミネラルやビタミンを効率よく体に吸収させる働きもあるため、フルーツビネガーは熱中症対策や夏バテ解消など、夏の体を元気にしてくれるおいしいサポーターと言えるでしょう。

 体を元気にするだけでなく、飲み続けられるおいしさであることもおすすめポイントです。フルーツビネガーは、果物の爽やかで甘い風味が酢に溶けて、炭酸などで割って飲むと格別のおいしさです。飲むときにほんの少量の自然塩を加えることで、味が引きしまり、また熱中症対策ドリンクとしても役立ちます。

 下記で紹介する、これからの季節におすすめのフルーツを参考に、好みの果物を酢と合わせてみましょう。

【フルーツビネガーにおすすめの果物】

・あんず、ネクタリン、プラム、ソルダム
・ブルーベリー、ラズベリー
・パイナップル ※適宜切って漬ける
・キウイ ※皮をむいて適宜切って漬ける
・巨峰、マスカット ※房から取って一粒ずつにして漬ける
・いちじく など

 自家製フルーツビネガーの作り方はとても簡単です。作り方の基本はどのフルーツでも同じですが、ここではネクタリンを使ったビネガーの作り方をご紹介します。分量は2リットルのガラス製の保存びん1本分です。

■【ネクタリンビネガーの材料と作り方】

ネクタリン・・・・・・700g
氷砂糖・・・・・・700g
りんご酢・・・・・・700ミリリットル

 フルーツビネガーはガラス製の保存びんを使用しますが、使用前にびんの内側や口のあたりを、キッチン用のアルコールスプレーか、35度以上のアルコールでふいておき、完全に乾いてから使いましょう。

 ネクタリンは水洗いしてへた部分を竹串などで取り除き、水分はペーパータオルなどで拭き取ります。びんに氷砂糖をひとつかみ程度入れたらネクタリンを入れ、氷砂糖、ネクタリンと交互に詰めていきます。氷砂糖と交互に入れるのは、そのほうがフルーツのエキスが早く溶け出すから。最後はネクタリンを覆うように氷砂糖をかぶせたら、りんご酢を加えてふたをするだけ。

 あとは氷砂糖が溶けるように時々びんを振り、エキスが溶け出して氷砂糖が完全に溶けたら完成です。使用するフルーツにもよりますが、4日~1週間程度で飲めるようになります。漬けたフルーツは2週間くらいを目安に取り出すようにしましょう。果実もビネガーも、冷蔵庫で1か月ほど保存可能です。

 レシピではキリッとした酸味のりんご酢を使用しましたが、米酢にするとまろやかになります。一度基本のレシピで作ってみて、氷砂糖の量などを自分の好みに合わせて加減してみるのもいいでしょう。

 一番手軽な楽しみ方としては、フルーツビネガーを炭酸で割って飲むこと。炭酸のほかに、紅茶で割るとレモンティーのようなテイストに、牛乳で割るとヨーグルトのような爽やかな味になるなど、変化が楽しめます。熱中症対策としては、少量の塩を加えるのがおすすめです。

 ドリンクとしてだけでなく、オリーブオイルや塩を足してドレッシングにしたり、バニラアイスクリームなどにかけるのもおいしい! 酢につけた果物ももちろん食べられますが、かなり酸っぱいので甘みを足しましょう。

 見た目も華やかなフルーツビネガー、夏バテ予防や熱中症対策としてぜひ作ってみませんか?(スローマリッジ取材班・内田いつ子)