登板直前の投手には捕球の際に大きな声を出すなどしてモチベーションを高めてもらう。自分が送り出した投手が好投したときには、この上ない喜びを感じる。

 シーズン中は主に月曜日がオフだ。遠征の場合、選手たちは翌日の火曜日に現地入りする。だが定岡さんは次戦の先発投手の練習対応のため、チームとは別に前日から現地入りする。シーズンオフのキャンプでも、早くに現地入りしてピッチャープレートやベースを備え付けるなど、球場の整備も行う。選手たちよりも常に「一歩先」を求められる仕事だ。

「私だけでなく、選手たちも見えないところで努力しています。そんな彼らと一緒に勝利を喜べるのが、この仕事の魅力ですね」

 そう言い残すと、定岡さんは選手たちのいるグラウンドへ走っていった。
(AERA dot.編集部/井上啓太)