6月の親善試合2連戦に帯同していた19歳の守護神・大迫敬介も「自分がやっているJリーグやキリンチャレンジのレベルと今回のコパのレベルの違いを物凄く感じます。今、すごく刺激を受けていますし、このままじゃダメだなと感じました」と発言。A代表経験の少ない若手には、本物のアウェー戦の衝撃はやはり大きかったのだ。

 そのアウェーの中でも、南米での戦いはとりわけ厳しいものになる。A代表の主力で、チリ戦でキャプテンマークを巻いた柴崎岳は「チリは僕らより数段、経験も能力も上。お世辞にも自分たちの方が上とは言えない」と偽らざる本音を吐露した。すでに最終ラインの一角に定着している冨安健洋も「審判も会場の雰囲気もいろんなことが全て日本でやるのとは違った」とため息交じりに語るなど、南米の地で本気でぶつかってくる南米勢と対峙することの難しさを日本サッカー界全体が再認識する機会になったのは間違いない。

 実際、日本は99年コパアメリカ(パラグアイ)での惨敗を皮切りに、2013年コンフェデレーションズカップ(ブラジル)、2014年ブラジルワールドカップと未勝利街道をひた走っている。過去11戦を消化して2分9敗という数字は深刻。とりわけブラジルでは分が悪い。今回参戦している川島永嗣は「過去にあったことが今回も起きるわけじゃない」とチリ戦前日にコメントしていたが、日本はコンフェデ、ワールドカップを超える初戦の厳しさを味わう羽目になった。この現実を踏まえ、苦境からいかに脱するべきかを日本サッカー協会も森保監督も真剣に模索すべきだろう。

 南米というのは、日本から飛行機で丸1日以上かかる“地の果て”のような場所。そう簡単に行けるところではない。国際Aマッチデーの限られた10日間程度で遠征するのは容易でないだろう。2018年12月に久保建英らU-19日本代表がブラジル遠征に赴くなど、年代別代表はチャンスを伺って南米に武者修行に出かけているが、A代表はとにかく強化日程が少ない。

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