新人王も期待されるDeNA・上茶谷 (c)朝日新聞社
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 チームに勢いを与える、待たれるルーキーの初勝利――。

 投打が噛み合わず、ちぐはぐとしたスタートを切った横浜DeNAベイスターズ。とくに心配なのはこの数年チームを支えてきたリリーフ陣の不振だが、一方で先発陣は復活を遂げた今永昇太を中心に、完璧とは言えないまでも再整備されつつある。現在ファームで調整中の東克樹、石田健大、平良拳太郎らが調子を上げて一軍に上がってくれば、充実したローテーションを組めるようになるだろう。

 そんな先発陣にあって、初勝利を望まれているのがルーキーの上茶谷大河だ。

 これまで3試合を投げ0勝1敗、防御率4.76と一見すれば十分な成績とは言えないが、デビュー戦となった4月2日のヤクルト戦では7回を投げ自責点1、9日の阪神戦では6回を投げ自責点3と試合を作り、リードの状況でマウンドを降りている。しかしながらリリーフが打ち込まれ、また守備の乱れもあり、不運にも勝ち星を逃してしまった。

 ゾーンで勝負のできるストレートとカットボール、さらにスライダーにカーブ、2種のチェンジアップを駆使し、抜群の制球力を見せる。自分の持ち味について上茶谷は次のように語る。

「力で押していくタイプではなく、コンビネーションやボールの切れといった数値では見えないところ、それとコントロールを武器に試合を作っていくタイプですね」

 実は上茶谷は東洋大学時代、3年生まで勝ち星はなく4年でようやくブレイクした選手である。春のリーグ開幕戦の先発を任され16奪三振の完封で大学初勝利を飾っており、さらに好投を続けてリーグMVPと最優秀投手を受賞している。まだ1年前の出来事と考えると非常に興味深い。

 劇的な変化を遂げた理由を尋ねると、そこには野球選手として大成するための賭けがあったという。

「投げ込みもしてきたし、肉体強化もしたのですが、一番大きかったのはフォームを変えたことです。勇気がいることですが、変わらなくちゃいけないと3年の秋に手を加えました」

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覚醒につながった大きなきっかけ