昨秋にNBAプレイヤーになった直後、渡邊は心のこもったコメントを残していた。その言葉通り、現代の俊才たちのおかげで、NBA、NCAAといったこれまで夢のようだった世界は、日本の若い選手たちにとってもより身近なものに感じられるようになったのではないか。そんな効用は大きく、この先、後に続くものたちは間違いなく出てくるはずだ。

 この良い流れをさらに前に押し進めるべく、日本バスケットボール界にとってのビッグステージが待ち受けている。8月に開幕するワールドカップの出場権をすでに手に入れた日本男子代表は、同時に2020年の東京五輪にも開催国として出場できることが決定。この2つの国際大会に、日本は渡邊、八村、ニック・ファジーカスを軸とする過去最強のチームを送り込むことになるのだろう。

 中国での世界選手権ではアメリカと同じグループに入り、NBAのスターたちが顔をそろえるチームとの対戦は史上最大の挑戦になる。他にもチェコ、トルコと同組になったビッグイベントでの戦いぶりは、今後への試金石になるはずだ。

 アメリカで活動する選手たちが集まったとしても、日本がどこまでやれるかを現状で予想するのは難しい。ただ、はっきりしているのは、今後1、2年の代表チームの頑張りが、日本バスケ界の将来に間違いなく大きな影響を与えていくということ。真の夜明けはもう間近に迫っている。新たな“黄金世代”の向こうに、日本バスケットボールの明るい未来がうっすらと見えてきているのだ。(文・杉浦大介)