日本では消費者庁が「特定保健用食品」、いわゆるトクホを審査、許可している。しかし、実際のデータを見るとトクホが本当に健康によいかどうかはかなり疑わしい。データの質が低すぎるのだ。

 現在、はやりのダイエット、糖質制限食についても、質の高い臨床研究は数少ない。日本では健康と食に関する関心が高い割には、その検証が不十分だ。このことは拙著『食べ物のことはからだに訊け!』(筑摩書房)で詳しく解説しているので興味のある方は参照されたい。

 一方、海外では地中海食など、とても質の高い臨床研究でその健康への寄与が確認されている食事もある。日本でも、みそやしょうゆといった発酵食品などは、より質の高い臨床研究でその価値を吟味すべきだ。ときに、みそやしょうゆなどを大豆で造った場合、「大豆アレルギー」があってこれらを摂取してもほとんど問題ないそうである。大豆たんぱくが発酵の過程で分解されるからなのだとか。これも、知っておいてよい知識だ。

大豆アレルギー|食物アレルギー研究会 [Internet]. [cited 2018 May 18]. Available from: https://www.foodallergy.jp/tebiki/soy/

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岩田健太郎

岩田健太郎

岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著にもやしもんと感染症屋の気になる菌辞典など

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