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“早熟傾向”の女子フィギュア選手にとって「真のピーク」とは…

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沢田聡子dot.
六本木に登場したアイスリンクのオープニングイベントで演技を披露する浅田真央さん (c)朝日新聞社

六本木に登場したアイスリンクのオープニングイベントで演技を披露する浅田真央さん (c)朝日新聞社

 3月16日、「浅田真央サンクスツアー」群馬公演初日。プロスケーター・浅田真央さんが成熟した滑りで再現する数々の名プログラムは、時に現役時代よりも魅力的だった。選手時代の代名詞・トリプルアクセルはもちろん跳ばなかったが、観客は心から満足したのではないだろうか。スケートの魅力がジャンプだけではないことを体現するのが、現在の浅田さんの滑りだろう。

 しかしスポーツとしての女子シングルの現状を見ると、ジャンプの難易度は加速度的に上がり、4回転を跳ぶ選手が注目を集める。エテリ・トゥトベリーゼ・コーチの指導を受けるロシアのジュニア世代の選手達が、高難度のルッツも含む4回転を引っ提げ、来季からシニアに参戦してくる。

 そんな流れの中で、エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)が世界選手権の銅メダルを取ったことには大きな意味がある。エテリ・コーチの下で平昌五輪に臨み銀メダルを獲得したメドベージェワは、今季からカナダに拠点を移し、ブライアン・オーサー・コーチの指導を受けるようになった。そのオーサー・コーチは次のように話している。

「女子は10代半ばごろまでジャンプも跳びやすく、何でもできると感じる。難しくなるのはいろいろと考え始める10代後半にかけてだ」(共同)

 成長による体型の変化で、ジャンプの不調に陥る女子選手は少なくない。まさにその難しい時期にあるメドベージェワは、まったく違うスケートを学び始めた今季前半、苦しい闘いをしてきた。グランプリファイナルの出場を逃し、またエテリの教え子であるジュニアの選手達が表彰台を占めたロシア選手権では、7位に沈んだため欧州選手権への出場もかなわなかった。最後のチャンスであったロシア杯ファイナルで勝ち、コーチ評議会の投票を経て、ようやく世界選手権への出場を決めている。

 しかし、先月開催の世界選手権でのメドベージェワは、自らの選択が正しかったことを証明する。大きなミスなく演技をまとめただけではなく、滑りで曲を表現するフィギュアスケート本来の魅力を大観衆の前で披露したのだ。元々表現力には定評があったが、フリーの曲に本人が希望していたリベルタンゴを選ぶなど、彼女自身が滑りたいプログラムを滑っていることが伝わってきた。そしてそれは、女性らしい体型になり人生経験も積んだ、19歳の彼女にしかできないスケートでもある。フリーを滑り終えたメドベージェワが見せた大きなガッツポーズには、彼女の気迫があふれていた。


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