敬遠で王貞治との対戦を選択… 江本孟紀、「一世一代の大博打」の結果は? (3/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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敬遠で王貞治との対戦を選択… 江本孟紀、「一世一代の大博打」の結果は?

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久保田龍雄dot.
阪神時代の江本孟紀 (c)朝日新聞社

阪神時代の江本孟紀 (c)朝日新聞社

 江本は、5球すべて変化球で勝負する。1ボールからの2球目は外角へのスライダーでストライク。1-2からの4球目を王はバックネットにファウル。1球ごとに大歓声が上がる。そして、2-2から投じたこの日の177球目、膝元へのカーブに、王のバットは空を切った。

 ゲームセットの瞬間、「やったぞ!」とばかりに両手をVの字に広げた江本だったが、次の瞬間、ヘナヘナと尻餅をつくようにしてマウンド後方に倒れ込んでしまった。

「あんなピッチングは10年に一度しかできんことや。きっと王さんは三振してくれたんと違うか」(江本)。

 序盤から球を低めに集めて、10回を6安打、14奪三振で投げ切った入魂の投球に、王も「悔しいけど、今日の江本は本当に良かったよ」と脱帽した。

 江本vs王の通算対戦成績は67打数9安打3本塁打の打率1割3分4厘。江本の圧勝である。

 そして、この名勝負の翌年、江本は81年8月26日のヤクルト戦(甲子園)で、「ベンチがアホやから野球がでけへん」の発言(本人は否定)が大きく報道されたことを機に、電撃引退する。くしくも同じ日には、中日・宇野勝の伝説の珍プレー“ヘディング事件”も起きている。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。


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