課題となってくるのは、打線の主軸の前に出塁できるかどうか。1年目から試合に出続け今年からキャプテンになった福田周平。小柄ながらシュアな打撃が売り物の西野真弘。球界トップクラスのスピードを持つ後藤駿太。堅実なプレースタイルで信頼の厚い小田裕也など好素材は揃っているだけに、この中から突出したリードオフマンが出てくると得点力は飛躍的にアップするはずだ。

 近年オリックスは多少、迷走しかけていた時期もあった。過去のビッグネーム獲得に走り、下馬評は高くとも結果は出ない年が続いた。そこにクサビを打ち込み、チーム改革をまさに行っている真っ最中である。まだまだ時間はかかるだろうが、チーム全体を見てみると大きな可能性が見えてくる。

 オリックス・ブルーウェーブ時代に輝いたイチローが、MLB開幕戦で東京に帰ってくる。「引退の花道か」と言われチケットはソールドアウト、大変な騒動になっている。くしくも同じ年かつてプレーした母体チームが勝ち進み、西の都・大阪が熱く盛り上がればこれだけ胸を打つことはない。新生オリックスにはスカッとする、気持ち良い野球を見せて欲しい。まさに「いてまえ」である。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍やホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!オフィシャルページにて取材日記を不定期に更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。