オリックスの吉田正尚=2019年2月1日、大坂尚子撮影 (c)朝日新聞社
オリックスの吉田正尚=2019年2月1日、大坂尚子撮影 (c)朝日新聞社

 パ・リーグ優勝争いに関しての話題は、昨年リーグ優勝の西武、その西武をCSで下し日本一となったソフトバンク、毎年のように新戦力が出る日本ハム、どうしてもこの3チームに偏ってしまう。一方で、昨季Bクラスに低迷したチームでも、即戦力補強ができたロッテや、若手の台頭が著しい楽天にも大きな可能性を感じるが、最も期待を抱かせるのがオリックス・バファローズだ。

ーー育成への方向転換が形となる。

 今オフはどちらかといえばネガティブな話題が多かった。投手陣では金子弌大が日本ハム、西勇輝が阪神へ移籍。打線では中島裕之が巨人、小谷野栄一が現役引退と投打を引っ張ってきた選手が相次いでチームを去った。しかし現場を預かる西村徳文新監督が「本当に選手たちが競争しているのが伝わってきた」とキャンプを総括したように、決して戦えない戦力ではない。

 チームはまさに選手入替えの過渡期と言えるが、数年前から先を見据えた強化は始まっている。オリックス二軍は17年から約30億円をかけて出来上がった大阪市此花区の人口島・舞洲(まいしま)地区に作られた新施設を使用している。メイン球場の他、二軍が本拠地にするサブ球場、室内練習場や寮も完備。6レーンを使用できるブルペン、栄養補給可能なプロテイン常備のトレーニング場があり、充実度には目を見張るものがある。

「球団として本気度というかやる気を見せてくれている。あとはいかにして結果を残して行くか」

 新施設を使用し始めた当時は二軍監督、今年から一軍野手総合兼打撃コーチの田口壮は語ってくれた。

「本当にいい素材はたくさんいる。彼らがレベルアップできる施設はあるし、しっかり練習している。実戦、経験をどんどんつめば、飛躍してくれると思う」

 オリックスで日本一、メジャーリーグで世界一にもなった田口が期待する若手選手は多い。パンチ力のある西浦颯大や、昨年ファームで規定投球回数に達した3年目の山崎颯一郎などは高卒初年度から鍛え上げられてきた。また俊足の宗佑磨は昨シーズン、一軍で74試合出場しておりさらなる飛躍が期待できる。

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投手を含め守りは強力なオリックス