「本当に当たったんだよ!」と必死に訴える死球パフォーマンスが大喝采を浴びたのが、5月12日の日本ハムvsソフトバンク(ヤフオクドーム)。

 2点を追う日本ハムは2回、石井一成の中越え二塁打で1点差に詰め寄り、なおも2死二塁で7番・杉谷拳士が打席に立ったが、バンデンハークから右足に死球を受け、その場に倒れ込んだ。

 だが、トレーナーが応急処置のためにベンチを飛び出すと、すぐさま立ち上がり、何事もなかったように一塁にスタコラサッサ。広島捕手時代の達川光男を彷彿とさせるようなユーモラスなシーンに、三塁側の日本ハムファンはもとより、一塁側のソフトバンクファンも大喝采だった。

 さらに5対3とリードした3回2死の打席でも、カウント1-1からバンデンハークの3球目、カーブが杉谷の左足をかすめる。

 山本貴則球審が「ボール!」と判定すると、これまたかつての達川よろしく「当たった!当たった!」と腰の高さまで上げた左足を指差しながら必死にアピール。だが、聞く耳を持とうとしないと、「だって、本当に当たったんだよ」と言わんばかりにしゃがみ込んで駄々をこねる。2打席連続の死球パフォーマンスにスタンドはもちろん爆笑の渦。

 その後、栗山英樹監督がリクエストを要求し、リプレー検証の結果、確かにボールは左足に当たっていたことから、ようやく死球が認められた。

 奇しくもこの日は、達川コーチも一塁側ソフトバンクベンチにいたが、“達川2世”のパフォーマンスに思わず苦笑い。

 ただし、当たってもいないのに「当たった!」と演技した現役時代の達川コーチに対し、杉谷は本当に当たったからアピールしたというのが決定的な違い。“2世”を名乗るには、さらに演技力を磨く必要がある?

 グラウンドのエンターテイナーといえば、もう一人、日本ハム・西川遥輝も忘れるわけにいかない。

 5月24日のロッテ戦(ZOZOマリン)、1点を追う日本ハムは5回、先頭の中島卓也が中前安打で出塁したあと、西川が投ゴロ。中島は二封、西川は一塁セーフになった。

 1死一塁から2番・大田泰示は中越えに大飛球。荻野貴司が背走しながらキャッチを試みたが、グラブの土手に当てて落球した直後、フェンスにぶつかって倒れた。

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ファンは思わず「まさか!」