日本が4度目の頂点に輝いた2011年カタール大会も不可解な判定が頻発した。1次リーグ第2戦・シリア戦の後半27分に川島永嗣(ストラスブール/フランス)が退場した場面は印象深い。長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)のバックパスが弱くなり、相手が川島にプレッシャーをかけたため、クリアが弱くなり、シリアのパスが再びゴール前に転がった。その直後、最前線に残っていたFWを川島が後方から倒してしまった。

 この時、FWはオフサイドポジションにいたため問題はなかったはずだが、イラン人のモフセン主審は「決定的な得点機会の阻止」と見なして川島に一発レッドを突き付けたのだ。これだけでも相当に違和感は残ったが、この主審は試合のバランスを取るために後半36分、岡崎慎司(レスター/イングランド)がペナルティエリア内で倒されたシーンでPKを宣告した。これを本田圭佑(メルボルン/オーストラリア)がキッチリ決めて、日本が2-1で勝利したのだが、後味の悪さは拭えなかった。

 続く準々決勝・カタール戦で吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)が後半に入って立て続けに2枚のイエローを受け、退場となった判定についても「厳しすぎたのではないか」と言われている。本田も「(カタール戦の苦戦は)想定内と言えば想定内。想定外と言えば想定外。主審が予想以上だった。アウェーの雰囲気に左右された判定が多かった。ただ、何よりも勝ってよかった。勝って審判のことを言うのと、負けて言うのでは全然違うから」と苦言を呈したほど、選手たちはレフェリーのジャッジに左右され、ナーバスになっていた。こうした予想外の出来事が起きても、タフなメンタリティを維持していなければ、アジアで勝つのは難しい。それは年代別代表で重圧のかかるゲームを経験してきた中島翔哉(ポルティモネンセ/ポルトガル)、南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)、堂安律(フローニンゲン/オランダ)の新2列目トリオはみな分かっているはず。そこは心強い部分だろう。

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内田篤人のような選手がいれば