理不尽な判定で退場処分を受ける川島(写真:getty Images)
理不尽な判定で退場処分を受ける川島(写真:getty Images)

 森保一監督率いる新生日本代表の最初の試金石となる2019年アジアカップ(UAE)が刻一刻と迫ってきた。日本代表は12月26日から国内合宿に入り、1月2日に日本を出発。3日から現地で調整に入り、アブダビで行われる1月9日の初戦・トルクメニスタン戦を迎えることになる。

 本番に向けてチームが本格始動しようとしている段階で、指揮官が満を持してメンバーに選んだ広島時代の秘蔵っ子・浅野拓磨(ハノーファー/ドイツ)のケガが再発し、代表辞退するというアクシデントに見舞われた。代役には2018年ロシアワールドカップメンバーの武藤嘉紀(ニューカッスル/イングランド)を指名したが、新体制発足後は一度も呼んでいないだけに、連携面を含めて不安は拭えない。今回は決勝まで7試合を戦わなければならず、固定メンバーでは最後まで勝ち抜けない。それだけに絶対的1トップの大迫勇也(ブレーメン/ドイツ)と武藤の併用は必須となる。指揮官の采配力が問われるところだ。

 ただ、チームの陣容やメンバー構成、起用法も重要だが、アジアカップは自分たちの戦い方以上に注意を払わなければならないポイントがある。それはズバリ『レフェリング』。日本は過去の大会でもレフェリーの判定でさまざまな混乱を強いられてきた。

 反日ムード一色のなか、3度目のアジア王者の座をつかんだ2004年中国大会の準決勝・バーレーン戦で、遠藤保仁(G大阪)が前半40分に一発レッドを突き付けられたシーンなどは1つの典型例と言える。自らボールを奪った後、進路を塞がれた彼が相手の顔付近に手をかけたところ、シンガポール人のマイディン主審に報復行為と判断されてしまったのだ。「退場のシーンは、ちょっと当たっただけ。故意ではなかったが、ひじが当たったように(主審には)見えたのではないか」と本人は語っていたが、物議を醸したのは確かだ。

 この試合ではバーレーン選手も延長途中に退場していて、それも出さなくてよかったレッドカードだと見る向きもある。主審の判定基準が一定でなかったり、雰囲気に流されりするケースがアジアカップではしばしば起きている。日本にとってプラスに働いた準々決勝・ヨルダン戦のPK戦でのピッチエンドを変えた事件もそうだろう。キャプテン・宮本恒靖(G大阪監督)の抗議をマレーシア人のサレー主審が受け入れたこと自体、前代未聞だった。それが現実になるのが、アジアという独特の舞台なのである。

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カタールでも理不尽な判定が…