坂上忍 (c)朝日新聞社
坂上忍 (c)朝日新聞社
高嶋ちさ子 (c)朝日新聞社
高嶋ちさ子 (c)朝日新聞社

 昨今のテレビ界を席巻しているのが、坂上忍と梅沢富美男だ。この10月の改編で坂上は『1番だけが知っている』(TBS系)、『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系)という2本のレギュラー番組を増やし、これでレギュラーは計8本となった。梅沢は数々のバラエティ番組や情報番組で活躍している上に、今年4月には初の冠番組となる『梅沢富美男のズバッと聞きます!』(フジテレビ系)も始まった。いまやテレビバラエティの世界は「坂上・梅沢」のツートップ体制であると言っても過言ではない。

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 彼らに共通するのは「本音キャラ」である。余分な綺麗事やお世辞を言わず、どんなことに対しても本音を語ってくれそう、と多くの視聴者に期待されているのだ。

 また、彼らにはバラエティが自分の本業ではないという共通点もある。坂上は俳優、梅沢は大衆演劇を本業としている。自分の軸足をバラエティに置いていないからこそ、いつそのポジションを失っても構わないという覚悟を持ち、ほかのタレントよりも一歩踏み込んだ発言ができる。テレビの制作者も出演者も、叩かれるリスクを恐れて守りに入りがちなので、坂上や梅沢のように堂々と本音を言える人間が重宝されるのだ。

 現在、テレビ界では坂上、梅沢の次に続く人材が求められている。そこで新たに脚光を浴びているのが、長嶋一茂、石原良純、高嶋ちさ子の3人だ。10月10日にはこの3人がレギュラー出演する新番組『ザワつく!一茂良純時々ちさ子の会』(テレビ朝日系)も始まった。

 この3人にはいくつかの共通点がある。1つ目は、裕福な家庭で浮世離れした環境で育ってきたため、常に自分のペースを貫いているということだ。一茂の父は長嶋茂雄。良純の父は石原慎太郎。高嶋の父は高名な音楽ディレクター。特殊な環境に身を置き続けたことで、物怖じしない性格が育まれていったのだろう。また、それぞれ家庭が裕福であるため、タレント業で仕事を失うことを恐れていない。それが彼らの自由奔放な発言を生んでいる。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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