古賀茂明「安倍総理が日米共同声明に存在しないTAG(物品貿易協定)という言葉を使った理由」 (3/6) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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古賀茂明「安倍総理が日米共同声明に存在しないTAG(物品貿易協定)という言葉を使った理由」

連載「政官財の罪と罰」

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古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

外務省ホームページに掲載されている日米共同声明の日本語版

外務省ホームページに掲載されている日米共同声明の日本語版

米国大使館のホームページに掲載された日米共同声明の日本語版

米国大使館のホームページに掲載された日米共同声明の日本語版

 正文である英語版を見てみよう。

3. The United States and Japan will enter into negotiations, following the completion of necessary domestic procedures, for a United States-Japan [Trade Agreement on goods, as well as on other key areas including services,] that can produce early achievements.([ ]は筆者)※米ホワイトハウスのホームページより

 後半の部分が問題の個所だが、ここでは、「a United States-Japan Trade Agreement」と書いてあるので、協定は二つではなくて一つであることがわかる。そして、TradeとAgreementは大文字で書かれているので、アメリカ政府の日本語訳では「貿易協定」となっていて「物品貿易協定」とはなっていない。その後にgoodsという言葉が続くが、これは独立した位置づけにはなっておらず、as well asという接続句が示すとおり、後ろの「key areas including services」(サービスを含む他の重要な分野)と全く同じ並びの分野の一つに過ぎない。だから、アメリカ側の訳では、「物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定」という表現になっていて、「物品貿易協定」だとか「TAG」などと言う言葉が出て来る余地はないのだ。

 つまり、英語の正文によれば、日米が「TAG」という何か特別な新しい交渉に入るというのは明らかに間違っている。正しい理解は、物品とサービスなどを対象とする「貿易協定」の交渉が始まるということになる。つまり、これは、両国が物品・サービスなどを幅広く含む貿易協定、すなわち、実質的なFTA交渉を始めると約束したと読むのが普通の解釈だろう。

 この正文(英語)を読んだ海外メディアが、「FTA」交渉入りだと報じたのは、当然のことだ。

 それに対して、安倍晋三総理の発言、外務省の発表は、いずれも間違った内容を国民に伝えた。より強い言葉で言えば、「TAG」という言葉を捏造したと言っても良いだろう。


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