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古賀茂明「安倍総理が日米共同声明に存在しないTAG(物品貿易協定)という言葉を使った理由」

連載「政官財の罪と罰」

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古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

外務省ホームページに掲載されている日米共同声明の日本語版

外務省ホームページに掲載されている日米共同声明の日本語版

米国大使館のホームページに掲載された日米共同声明の日本語版

米国大使館のホームページに掲載された日米共同声明の日本語版

 9月26日に行われた日米首脳会談の後、日米共同声明が発表された。

【外務省ホームページに掲載されている日米共同声明はこちら】

 日本の新聞、テレビは、日米はFTA(自由貿易協定)ではなく、誰も聞いたことのない「物品貿易協定」(「TAG」)について交渉に入ることに合意したと報道した。

 しかし、これは大誤報だった。なぜなら、「TAG」という言葉は、本物の共同声明には存在しないからだ。

 こう言っても、何のことかわからないかもしれないので、詳しく解説しよう。官僚や一部の政治家にしかわからないような少し技術的な話も出て来るが、そういうことを理解する壁を乗り越えないと、官僚と安倍政権が繰り広げるレトリックに騙され続けることになる。この話を読むと、リテラシーが一段レベルアップすると思うので、最後までお付き合いいただきたい。

●「TAG」ありと「TAG」なしの二つの共同声明が存在する奇妙な話

 私は、首脳会談直後から、外務省のホームページを何回も確認し続けていた。それは、なかなか日米共同声明の英文が掲載されなかったからだ。共同声明の日本語版はすぐに掲載されたが、ホームページの英語版でも、英語の共同声明が掲載されない状態が1週間以上続いた。英語版は、日本語版と違い、翻訳の必要がないから、すぐに掲載できるはずなのに、これはとてもおかしなことだ。

 もちろん、在日米国大使館のホームページなどを見れば、すぐに英語版を見ることができる。私が9月28日に確認したところ、英語版も日本語版も見ることができた。

 ところが、そこで大きな問題を「二つ」発見した。

 一つ目は、日本政府の発表した日本語の共同声明と米国大使館が出している日本語の声明文の間に大きな違いがあることだ。しかも、それが、日本で最も関心を集めた「物品貿易協定(TAG)」に関するものなのだから、これは驚きだった。

 日本政府の日本語訳には「TAG」という言葉があるのに対して、米国大使館の日本語訳にはこの言葉が存在しないのだ。何かの間違いだろうと思う人もいるだろうから、実際に該当部分を比べてみよう。

 まず、外務省ホームページに掲載されている日米共同声明の日本語版だ。

 この中の第3項に、

「3 日米両国は,所要の国内調整を経た後に,日米物品貿易協定(TAG)について,また,他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じるものについても,交渉を開始する。」という記載がある。

 ここには明確に「日米物品貿易協定(TAG)」という言葉がある。そして、TAGと並んで「他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても」交渉すると書いてある。

 この文章は非常にわかりにくく作られている。そのため、解釈には二通りの可能性が生まれる。


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