大阪城公園内で営業する宮本茶屋 (c)朝日新聞社
大阪城公園内で営業する宮本茶屋 (c)朝日新聞社
いまにし・のりゆき/1966年、大阪府生まれ。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手掛ける。著作に「私は無実です 検察と闘った厚労省官僚 村木厚子の445日」「福島原発の真実 最高幹部の独白」(ともに朝日新聞出版)
いまにし・のりゆき/1966年、大阪府生まれ。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手掛ける。著作に「私は無実です 検察と闘った厚労省官僚 村木厚子の445日」「福島原発の真実 最高幹部の独白」(ともに朝日新聞出版)

 大阪城公園(大阪市中央区)にある、たこ焼きが有名な軽食店「宮本茶屋」が大阪国税局に告発された。

 売り上げを申告せず、約1億3千万円を脱税したとして、告発されたのは、経営者の宇都宮タツ子さん(72)。

 宮本茶屋は、約40年前から大阪城の天守閣がすぐ目の前にそびえる、大阪城公園の中で敷地を借りて営業している。

 代理人の弁護士が事情をこう話す。

「屋台にちょっと手を加えたような簡易な設備で、家族経営のような形で営業していた。経営者の宮本さんによれば、すごく儲かるような商売ではなく、赤字ではないが家族が食べていく程度の収入だったそうです」

 それが一変したのが約4年前―ー。インバウンド(訪日外国人客)が急増し、大阪城へ来る来場者がうなぎ上りとなり、宮本茶屋の売り上げもアップ。

 とりわけ、売れたのが大阪名物・たこ焼きだったという。宮本茶屋のたこ焼きは、1皿8個で600円。外国人に飛ぶように売れ出したのだ。

 記者も食べたことがあるが、大阪でよくあるたこ焼きで正直、特別な味ではない。そこで、深掘り取材するとたこ焼きが売れた理由は2つあった。

 大阪城がすぐ目の前というロケーションで、インスタ映えが半端ない。

「外国人が大阪に来れば、たこ焼き。大阪城をバックにしてたこ焼きを食べているような写真はここでしか撮れません。『友人が大阪城の前でたこ焼きを食べている写真を撮っていたので、そこに連れて行ってほしい』というリクエストがよくあります」(外国人を案内する旅行業者)

 そして周囲には、他に店はなく、競合がない。大阪城に近い別のたこ焼き業者はこう分析する。

「8個600円、ちょっと高いね。たこ焼きは、その気になれば、原価はかなり安く抑えられる。普通は海のタコを使うのですが、水ダコにすれば半分以下。いろいろケチれば、原価100円くらいにまで落とせますよ」

 宮本茶屋の収入は2014年は1億3000万円、2015年、2016年は2億数千万円で、約5億円もの稼ぎがあった。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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