では、都心と郊外を結ぶ主要路線で、あまり混雑率が高くない路線はどうか。75位の中央線各駅停車(代々木→千駄ヶ谷)が97%と、定員である100%を下回った。同路線に乗り入れる東西線(高田馬場→早稲田)が128%で61位となった。一方で、並走する中央線快速(中野→新宿)は184%で10位と、同じ区間を走る路線でも大きな違いがみられた。長距離を走る快速列車に乗客が集中している格好だ。

 単独の主要路線では、60位の都営浅草線(本所吾妻橋→浅草、129%)、51位の東武東上線(北池袋→池袋、137%)、46位の京急本線(戸部→横浜、144%)、44位の東武伊勢崎線(小菅→北千住、149%)、そして先述の41位の小田急小田原線(世田谷代田→下北沢、151%)が低い結果となった。

 近年の首都圏の混雑率はどういった傾向があるのか。先ほどの国交省の担当はこう話す。

「混雑率が改善する要因には、小田急の複々線化が最たるものですが、これ以外でも列車の運行本数や編成両数を増やすことで改善に結びついた報告を受けております。全体としても1975年度以降の調査で最低の163%に下がり、改善傾向が続いていると言えるのではないでしょうか」

 他にも労働人口も減り続けている要因もあり、この統計を見る限りでは過去一番“恵まれている”と言える実態のようだ。それでも毎朝の通勤ラッシュが大変であることには変わりはないが、そう思えば毎朝のラッシュも、そしてこの暑さも少しは我慢できるかもしれない。(河嶌太郎)