2017年に「新・佐野元春宣言」をアナウンス。新鮮な気持ちで再スタートした。髪を短くし、ワークアウトとスイムに加えて食生活を見直すことでシャープな容姿になった。(c)DaisyMusic
2017年に「新・佐野元春宣言」をアナウンス。新鮮な気持ちで再スタートした。髪を短くし、ワークアウトとスイムに加えて食生活を見直すことでシャープな容姿になった。
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佐野自身は“アップデイト・アルバム”と呼んでいる『自由の浜辺』。(c)DaisyMusic
佐野自身は“アップデイト・アルバム”と呼んでいる『自由の浜辺』。
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10月4日から「禅BEAT TOUR 2018」をスタートする。エネルギッシュなステージが若いリスナー層を急速に増やしている。(c)DaisyMusic
10月4日から「禅BEAT TOUR 2018」をスタートする。エネルギッシュなステージが若いリスナー層を急速に増やしている。
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 佐野元春が“佐野元春 & THE HOBO KING BAND”名義で『自由の岸辺』をリリースした。佐野自身の曲を新アレンジで録音したアルバムだ。「ハッピーエンド」「ブルーの見解」など11曲収録。中でも「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」は圧倒的だ。オリジナルはロック。今回はジャズのテイスト。手練れのミュージシャンだからこそ、ギターのカッティングも、ドラムスのハイハットも、フルートの響きも、1音1音が心地よい。

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「僕は今、2つのバンドで活動をしています。モダンロックをやるときはコヨーテ・バンド。ルーツロックのときはザ・ホーボー・キング・バンドです。なぜ2つのバンドが必要なの? よく訊かれます。デビューしてまもなく40年になります。ロック、ブルース、ジャズ、レゲエ……。いろいろな音楽をやってきました。音楽の表現の幅はどんどん広がってきました。1つのバンドでは表現しきれなくなってきたんです」

 ライヴも、アリーナ、ホール、ライヴハウス……、いくつものスタイルで行っている。

「東京の六本木にビルボードライブ東京があります。ここでやるときは、ザ・ホーボー・キング・バンドで、自分の曲をさまざまなアレンジで演奏します。その中で特に気持ちよくやれた曲、客席からいい波動をもらった曲を『自由の岸辺』に収録しました」

 日本のミュージシャンの多くは、レコーディングとツアーは別のメンバーで行う。CDは技術もギャラも高いミュージシャン。長期にわたるツアーはスケジュールを押さえやすいミュージシャン。しかし、佐野はレコーディングメンバーそのままでライヴも行う。

「バンド・スタイルが好きだからです。メンバーにはシンガーソングライターである僕といつも同じ方向を見ていてほしい。同じ気持ちを共有してほしい。それが音楽の質を上げるからです。客席の反応をメンバー全員が感じ、音楽をアップデイトして、次の作品に反映させます。僕たちの音楽が素晴らしいか。そうでないのか。答えのすべてはライヴにあります」

 この5年ほどは特に佐野の活動は活発だ。2つのバンドでコンスタントに新作を発表し、それぞれのライヴも行っている。60代を迎えてなお、佐野の容貌も若々しくなっている。

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神舘和典

神舘和典

1962年東京生まれ。音楽ライター。ジャズ、ロック、Jポップからクラシックまでクラシックまで膨大な数のアーティストをインタビューしてきた。『新書で入門ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)『25人の偉大なるジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)など著書多数。「文春トークライヴ」(文藝春秋)をはじめ音楽イベントのMCも行う。

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