中日・大野雄大は新天地に活躍の場を求めるのも手だ (c)朝日新聞社
中日・大野雄大は新天地に活躍の場を求めるのも手だ (c)朝日新聞社

 開幕して約2カ月が経過した今年のプロ野球。両リーグとも混戦が続いているが、パ・リーグは圧倒的に前評判の高かった前年の覇者ソフトバンクを抑えて西武日本ハムが首位を争う展開となっている。そして両チームに共通しているのがトレードで移籍してきた選手が活躍している点だ。

 西武では、シーズン開幕直前に移籍してきた榎田大樹の存在が大きい。阪神での過去3年間はわずか1勝4ホールドの成績に終わっていたが、今シーズンは先発の一角に定着して早くも自身最多の5勝をマーク。左肩の故障で離脱した菊池雄星の穴を見事に埋めてみせた。日本ハムではともに昨シーズン、巨人から移籍してきた大田泰示と公文克彦がチームを支えている。大田は昨年の15本塁打を上回るペースで本塁打を量産し、すでに11本塁打、33打点をマーク。公文も中継ぎの一角として16試合に登板して、防御率は0点台と見事に役割を果たしている。

 この3人はトレード前に一軍の戦力として機能しておらず、移籍をきっかけに飛躍したというところも共通している。彼らのように環境を変えることでまだまだ輝ける選手は他にもいるはずだ。今回はそんな、現チームからのトレードをおすすめしたい『くすぶっている』選手をピックアップしたい。

 投手でまず取り上げたいのが大野雄大中日)だ。プロ入り3年目の2013年からは3年連続で二桁勝利をマークしたものの、直近の過去2年間はいずれも7勝どまり。今シーズンも開幕から調子が上がらず、ここまで2試合に先発しているものの、いずれも序盤から四球を連発して5回を持たずに降板している。もともと緻密なコントロールがある投手ではないが、四球で自滅するようなタイプではなかっただけに今季の一軍でのピッチングは明らかに本来の姿ではない。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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