ただ、最大の武器であるストレートははまだまだ150キロを上回るスピードがあり、二軍ではここまで3勝3敗ながら防御率は1点台をマークするなど決して力が衰えたわけではない。環境を変えれば復活する可能性も十分に考えられる。またチーム事情的にも野手は完全に外国人頼みであり、これからの伸びが期待できる若手も少ない。先発が不足しているチームとの交換トレードで有望な若手、中堅野手を獲得するために大野を放出するという手も考えられる。

 リリーフ投手では西村健太朗(巨人)が苦しんでいる。西村は2013年に最多セーブのタイトルを獲得したが、故障もあってその後は成績が急降下。昨年は45試合に登板して復活の兆しを見せたものの、今年は新戦力の加入もあって二軍暮らしが続いている。右打者の内角を厳しく攻めるシュートが持ち味だが、ここ数年はそれが抜けてしまうケースが目立つ。それでもボールの力自体は大きく落ちているようには見えず、クローザー、セットアッパーとしての豊富な経験も大きな武器である。リリーフが手薄なチームに加われば、まだまだもう一花咲かせる可能性はあるだろう。

 大田のように大きく期待されながら伸び悩んでいるタイプとしては藤岡貴裕(ロッテ)を挙げたい。東洋大学時代は菅野智之(巨人)、野村祐輔(広島)とともに「大学ビッグ3」と呼ばれ、3球団競合でドラフト1位で入団。将来のエースとして期待されたものの、昨年までのプロ6年間で通算21勝にとどまり、今シーズンも浮上の兆しは見られない。フォーム的には目立った欠点はなく、貴重な大型本格派サウスポーの素材なだけに、このまま終わってしまうのはプロ野球界全体にとっても大きな損失である。今年で29歳とまだまだ若さがあるだけに、新天地でチャンスを与えた方が本人のためにもなるのではないだろうか。

 一方、野手でもったいないと感じるのは伊藤光(オリックス)だ。プロ入り6年目の2013年にレギュラーの座を奪い、翌年の2014年にはベストナインとゴールデングラブ賞を獲得。ここからリーグを代表する捕手に成長するかと期待されたが、その後は年々存在感が薄くなり、今シーズンもベンチを温める日々が続いている。キャッチングの安定感には定評があり、盗塁阻止率も飛び抜けてはいないものの毎年3割近い数字をマークするなど捕手としての実力は申し分ない。捕手不足の球団は少なくないだけに、このままの起用が続くようであれば獲得を狙うチームも出てくるだろう。

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外野手ではロッテ・伊志嶺翔大が代表格