球団直営のバーでマスターを務める高知・駒田監督(写真提供:喜瀬雅則)
球団直営のバーでマスターを務める高知・駒田監督(写真提供:喜瀬雅則)
バーの店内には、かつて高知球団でプレーした藤川球児やマニー・ラミレスらのユニホームが展示されている。(写真提供:喜瀬雅則)
バーの店内には、かつて高知球団でプレーした藤川球児やマニー・ラミレスらのユニホームが展示されている。(写真提供:喜瀬雅則)

 2018年4月2日。

【写真】バーの店内に展示されている有名選手たちのユニホームはこちら

 高知市のメーンストリートともいえる帯屋町から、歩いても10分足らず。鏡川沿いに位置する高知市野球場で、プロ野球・独立リーグの四国アイランドリーグplusに所属する高知球団は、ソフトバンク3軍との試合に臨んでいた。

 ナイター開催だった一戦は、高知が3―1で逆転勝ち。その試合を終えた駒田徳広監督が向かった先は、帯屋町の一角にある雑居ビルだった。

 ユニホームを脱いだ指揮官には“もう1つの顔”がある。

「KOMA'S HOUSE」

 高知の名所・はりまや橋から、徒歩数分。帯屋町のアーケード街に面した中央公園のすぐ脇にあるビルの3階。

 3月23日にオープンしたばかりの店は、駒田監督自らがプロデュースしたバーだ。

 カウンター9席に、10人程度が座れるテーブル席が2つ。自らの名前を店名に掲げた駒田監督は、自らカウンターにも立って、お客さんと会話も交わす。

 つまり、4月2日は、駒田監督は2時間36分の試合を采配した後、そのまま店に向かい、バーのマスターとして“延長戦”を戦っていたというわけだ。

 プロ野球の監督が、バーのマスターになる。これを提案したのは、なんと、駒田監督自身だった。梶田宙球団社長が、開店に至る経緯を明かしてくれた。

「単純に、駒田監督の思いからできたんです。球団のこともすごく考えてくれて、ちょっとでも収益になるだろうと。球場に来てくれたファンの人たちが、試合が終わった後にも、そのまま高知の街に行って、楽しめるような場所を作りたい。そういう思いからですね」

 昨年のオフから、駒田監督は梶田球団社長に「やろうよ」と、バー開店の提案を何度となく持ちかけてきたという。巨人、横浜(現DeNA)の主砲として活躍、2000安打も達成して名球会にも名を連ねている名選手は、現役引退後に横浜スタジアムにほど近い横浜・関内で、バーを開いていたこともあるという。

「こういうの、好きなんですよ。苦にならないかって? いやー、全くそういうのはないね」

 試合後、そのままカウンターに立つ監督を目当てに、球場からそのまま駆けつけたファン、試合終了を見越して監督に会いに来たファンが、ひっきりなしに店を訪れる。

次のページ
駒田監督は70、80年代の歌謡曲マニア