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憧れの一戸建てが老後の「凶器」に!? プロが指摘するリスクとは

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梶野佐智子dot.#シニア#ヘルス#健康#病気
※国土交通省 平成28年度「土地問題に関する国民の意識調査」をもとに作成

※国土交通省 平成28年度「土地問題に関する国民の意識調査」をもとに作成

 老後に安心安全に暮らすには、一戸建てがいいのか? マンションがいいのか? 一戸建て信仰は根強いですが、専門家のオススメは断然マンションです。寒くて段差の多い戸建て住宅は、老後には「凶器」と化すかもしれません。週刊朝日ムック「定年後のお金と住まい2018」で、住宅問題ジャーナリストの山下和之さんに聞きました。

【図表】年代別、理想の住まいは?30代は戸建てでも…

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 老後はどんな形態で住むのがいいのか。意外かもしれませんが、今でも一戸建てへの憧れは根強く残っています。国土交通省が2016年に実施した「土地問題に関する国民の意識調査」では、約7割が今後望ましい住宅として一戸建てを選び、高齢者ほど、その傾向が強くなります。

 しかし、定年後に住むのであれば、どちらかといえばマンションをおすすめします。前提として、自宅は安全な場所ではありません。厚生労働省の人口動態統計によると、16年の家庭内事故による死者数は1万4175人。これは交通事故による死者数の約2.7倍にあたります。また死亡者の大部分を65歳以上の高齢者が占めます。

 高齢者にとって、段差の多い戸建て住宅は転倒しやすく、階段から転落する危険もあります。建築基準法により、耐火構造になっているマンションとは違い、火災にも注意が必要です。入浴中の溺死はマンションでも気をつけるべきですが、古い住宅は廊下や脱衣所が冷えるため、急激な温度差によるヒートショックのリスクが高まります。

 特に20年以上前に建てられた一戸建ては要注意です。2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行され10年間の品質保証が義務づけられました。これ以前と以降では、住宅品質に大きな格差があります。特に心配なのは耐震性です。大きな地震が起これば、倒壊する恐れもあります。

 お子さんが独立して夫婦2人で暮らしているなら、古い一戸建てを売りダウンサイズし、フラットタイプ・マンションへの住み替えを選択肢に入れてください。階段がなく、耐震性、耐火性、断熱性に優れているうえ、最近はバリアフリーの物件も増えています。元気なうちに老後のことを考え、安全・安心な住まいを選ぶことが大切です。

 ひとつ問題なのはマンション価格の高騰です。新築だけでなく、中古マンションの価格も上がり続けています。なかには安い物件もありますが、戸建て同様、あまりに古いと耐震性や断熱性に問題があります。築20年までの範囲で物件を探すとよいでしょう。

 正直なところ、今は購入のタイミングとしておすすめではありません。19年の消費税の引き上げ、20年の東京オリンピック、そして22年の生産緑地問題と住宅業界を揺るがすイベントが待っているからです。

 消費税が上がれば、需要が減る影響でほぼ確実にマンション価格は下がるでしょう。東京オリンピック後に、不動産価格が暴落すると予想する人もいます。さらに大きいのは生産緑地問題です。大量の農地が住宅地として売り出される可能性があり、特に東京都世田谷区や練馬区の生産緑地が注目されています。

 余裕があるのなら、価格が下がり始めるまで待つのも手です。ただし、それまで超低金利時代が続くとは限りませんから、資金面も含めていつ買うべきか判断する必要があります。(文/梶野佐智子)

※週刊朝日ムック「定年後のお金と住まい2018」から


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