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昔のプロ野球が“血気盛んすぎ”  金田正一は大暴れ!

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久保田龍雄dot.

金田正一・ロッテ元監督=1976年(c)朝日新聞社

金田正一・ロッテ元監督=1976年(c)朝日新聞社

 直後、ベンチから金田監督が血相を変えて飛び出し、「何であれがボークや!」と叫ぶと、両手で高木球審の体をドーンと突いた。問題のシーンで、伊原春樹三塁コーチがデストラーデよりも早く本塁に向かってスタートを切ったフェイントまがいの行為に、「(あんなことをしたら)投手はビックリしてホームに放るよ」というのが言い分。怒り心頭の金田監督は、さらに高木球審に右キック、続いて左キックをお見舞いした。

 そして、通算7度目となる退場宣告を受けると、金田監督は「ちょっとこっちへ来い!」と審判団をマウンドに呼集。園川からボールとグラブを奪い取ると、自らボークシーンを再現し、「これのどこがボークや!」と訴えた。

 それでも審判団が聞く耳を持たなかったため、金田監督はナイン全員をベンチに引き揚げさせ、放棄試合をほのめかす騒ぎに発展したが、8分間の中断の後、連盟への提訴を条件に試合再開。ボーク騒動が尾を引いて、ロッテは6対13と大敗した。

 その後、金田監督には出場停止30日間、制裁金100万円という重い処分が下り、高木球審も事件のショックからシーズン途中で辞職するなど、後味の悪さを残すことになった。

 数ある退場劇の中でも、審判にボールを投げつけるというとんでもない暴挙を起こしたのが、巨人のガルベス。

 1998年7月31日の阪神戦(甲子園)、5回までに5点を失ったガルベスは、6回にも先頭打者・坪井智哉に右越えソロを浴びる。2ストライクと追い込みながら、2球続けて微妙なコースを「ボール」と判定され、カッとなった直後の被弾だった。

 池谷公二郎投手コーチが交代を告げるためにマウンドに向かうと、ガルベスは突然「お前が悪い!」とばかりに橘高淳球審に激しく詰め寄り、止めに入った同僚のダンカンを180センチ、107キロの巨体で弾き飛ばした。

 たまらず長嶋茂雄監督がマウンドに駆けつけ、「お前、何やってるんだ!早く戻れ!」と肩で背中を押すようにして、ベンチ前まで連れていった。

 ところが、直後、ガルベスはあろうことか、約30メートル離れたマウンド付近にいた橘高球審に向かって、ボールを投げつけた。幸いボールは頭上約2メートルの高さにそれたが、もし頭を直撃していたら、大惨事になりかねないところだった。

 さらにガルベスは目を血走らせながら同球審につかみかかろうとしたが、ナイン総出で取り押さえられた。もみ合いの際に吉原孝介がガルベスから顔面に肘打ちを食らい、口から出血してうずくまるなど、騒動の余波が続いた。

 ボールを審判に投げつけるという侮辱行為で退場処分になったガルベスには、無期限の出場停止(翌年復帰)と球界最高の制裁金4千万円が科せられた。長嶋監督が遺憾の意を表明し、事件後に頭を丸めたことも、ファンの記憶に強く残っている。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。


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