「五輪の時期に自分の調子を合わせられて運も味方してくれた。リズムが全て良かった」と振り返るソチ五輪のシーズンは、W杯で4季ぶりに表彰台に上がると、五輪本番1カ月前には10季ぶりの優勝を果たし、ノリにノッていた。

 しかし、今回は、昨季から課題に挙げている助走が定まらず、なかなか思うようなジャンプをできずにいる。

 五輪代表に選ばれるか不安ですらあったといい、「自分のレベルを見るとメダルを獲れるようなレベルではない」と、自己評価もかなり厳しい。

 10日に行われたノーマルヒル個人戦は21位に終わったが、葛西はジャンプ台が大きくなればなるほど力を発揮するタイプ。

 ラージヒルの公式練習では、全体2位の飛距離となる138メートルの大ジャンプを決めるなど、一発当たる可能性も秘めている。

 平昌では日本チームの旗手を任されたが、旗手や主将を務めると金メダルが取れないというジンクスがある。ただ、葛西は主将を務めたソチ五輪で銀メダルをとっており、「そんなジンクスはないと思って頑張る」と気合も十分。主将を務めたスピードスケートの小平奈緒が一足先に銀メダルを獲得しているのも大きな力になりそう。

 平昌には、ソチ五輪直後に結婚した怜奈夫人、2歳の愛娘・璃乃ちゃんが応援に駆け付ける。五輪に家族を呼ぶのが夢だったという葛西にこれ以上ないパワーを与えてくれるはず。