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ソフトバンク、“高額年俸”を実現する驚異の球団経営

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喜瀬雅則dot.
ソフトバンクの孫オーナー(左)と工藤監督 (c)朝日新聞社

ソフトバンクの孫オーナー(左)と工藤監督 (c)朝日新聞社

 ところが、本社の経営悪化に伴い、これらの「3点セット」が財政上の重荷になった。ドームは米投資会社の「コロニー・キャピタル」に売却され、ソフトバンクが球団経営を引き継いだときにも、コロニー社には年間で約50億円というドーム使用料を払う必要があった。

 ところで、日本のプロ12球団の経営における年間のコスト総額は、100億円前後と見られている。うち、半分近くは選手やスタッフの年俸総額、つまり人件費と言われている。スポーツビジネスは「選手=商品」であるため、一般企業と違い、人にかかるコストはどうしても高くなる。そこに、球場の使用料だけで「50億円」となれば、経営におけるその負担は大きすぎるものがある。

 ソフトバンクは、球団経営による知名度や企業イメージアップなどの本業とのシナジー(相乗)効果で、買収当時の25億円から30億円と見られていた年間の球団経営に伴う赤字額を十分に相殺できると計算していた。これを「宣伝広告費」として親会社が赤字補塡するのが、球団経営の従来のスタイルだ。しかし、この形ではいつまでたってもビジネスとして球団が一本立ちできない。

 球団経営を進めていく中でソフトバンクが決断したのは、ドームの買収だった。コロニー社からシンガポール政府不動産投資公社の「GICリアルエステート」に所有者が移っていたドームを2012年3月に870億円で同社から買収して「福岡 Yahoo! JAPANドーム」として再出発した。

 この大型投資のメリットを説明していこう。

 「870億円」はドームという「不動産」に投資したことになり、これは「減価償却費」として処理される。その償却期間は30年から40年とみられており、年単位の処理だと、20~30億円程度になる。つまり、会計上では、年50億円の使用料が半減する形になる。匿名を条件に、かつてプロ野球の球団経営に携わったことがある有識者にこの点をただしてみると「ソフトバンクはこの“浮いた分”を人件費に回していると考えればいい」と説明する。

 2018年の年俸総額(いずれも推定)は、ソフトバンクが前年から約7億円アップの61億8000万円で、12球団トップとみられている。1億円プレーヤーが14人、さらに4億円以上が8人いる。ソフトバンクに続く2位の巨人が47億3000万円で、巨人を上回る「25億円」は計算上のこととはいえドーム使用料の“浮いた分”に奇しくも合致する。後藤芳光・球団社長兼オーナー代行は、ソフトバンク入社前は安田信託銀行(現みずほ信託銀行)にいた財務のスペシャリストだ。同オーナー代行は2014年のリーグ優勝時に球団経営に関して日刊スポーツのインタビューに答えているが、その際に「選手の獲得予算は青天井でいい」と語っている。



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