物心ついたときには「パソコンやスマホが周りにあるのは当たり前」という現代の小学生。親としては目の健康が気になるところです。『AERA wit Kids2017冬号』(朝日新聞出版)では、ネット・ゲーム・スマホが目に与える影響について紹介。親が思う4つの素朴な疑問について小児眼科や眼精疲労に詳しい浜由起子先生に聞きました。

1.ネットやゲームをすると、やはり目が悪くなる?

 長時間続けると悪くなります。近視とは近くにピントが合いやすい目のこと。スマホや携帯型ゲーム機の画面と顔との距離は20センチ以内。そこにピントを合わせるのは、目にとって大きな負担です。長く続くと、やがて近い距離にピントが合いやすいように目の筋肉などが変化して、近くはラクに見えるけれど遠くにピントが合いづらい近視になってしまうのです。それを避けるためには、30分以上画面を見るときは、途中で休憩を挟むこと。休憩時間は、見続けた時間と同じ長さが理想。無理に遠くを見続けなくても、親子の会話や食事などで大丈夫です。

2.ゲームに集中する子ども。目は疲れない?

 子どもは目の疲れを感じません。子どもの目は、見たい場所にピントを合わせる調節力が非常に強いのが特徴。10歳前後までは特に強く、長時間近くを見続けていても疲れを感じません。とはいえ目には負担がかかっています。途中で休憩を挟むほか、ソファなどに寝転がってやらないように注意しましょう。寝転がるとどうしても画面が近くなり、鼻先近くまで近づけていることもあり、目の負担は増します。本を読むときと同様、きちんと座って、30センチは離して見るようにしましょう。室内が暗くても画面を近づけやすいので、明るくすることも忘れずに。

3.読書よりもスマホのほうが目に悪い?

 スマホの散乱光が目に刺激を与えます。私たちが普段目にする光は、赤や青などさまざまな光が組み合わされている「散乱光」と呼ばれるもの。受け取るには、目の奥の組織で光を収束させなければなりません。スマホの画面が発するのはまさにその散乱光で、ダイレクトに目に入り込みます。一方の本は、紙がある程度、照明などの光を吸収し、収束された光が反射して目に入るので、スマホよりは目に優しいと言えます。また、デジタル画面は端末が小さいほど目には負担がかかりやすいので、見るなら画面が大きいほうがベター。
 たとえば、YouTubeを見るなら、スマホよりタブレット、ゲームをするならパソコンやテレビのほうが目の負担は軽くなると言えます。もちろんテレビを見るときも3メートル程度の充分な距離をとりましょう。

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