小学生にとって難しい力の一つ、算数における思考力とはどのような力を指すのでしょうか。無心で次々と解きながら自然と思考力が身につくパズルや、学習法の秘密について、中学受験塾エルカミノ代表の村上綾一さんに伺いました。子育て情報誌「AERA with Kids2025年夏号」(朝日新聞出版)からお届けします。
【問題に挑戦!】どこに「0」を入れると正しい答えになる?(全3問)考えることが好きな子どもがしたこと
算数における思考力とはどのようなものを指すのでしょうか。中学受験エルカミノ代表の村上綾一さんは「文章題の問題文を理解できることが『算数思考力を伸ばす』ということではないですね」ときっぱり。
「最近の中学受験では算数の問題文が長く複雑化していて、それがあたかも思考力の有無を測るかのように見えますが、それは読解力や国語力のスキル。算数思考力は、実際に解く際に『何の算数知識を使って、どうすれば解けるのか』に頭を使うことだと思っています」
だからエルカミノでは、問題文やルールはなるべく簡単にし、「解くときにじっくり頭を使う」ことを大事にしているといいます。特に粘り強さや解き進める力については「小学1~3年でこなす自社オリジナルの算数パズルで思考力の土台を作っている」と村上さん。
「算数知識が入ったパズルなので、ひらめきや試行錯誤をしながら達成感も味わえます。夢中というより無心に近い感じで、親子で競争して楽しむうちに思考力がついた、という家庭も多く見られますね」
文意が分からなければ何を使って解くか以前でつまずいてしまうため、読解力も大事。しかし言葉の理解は子どもによってスキルの差が大きいので、講師と一緒に「何を使って解く問題なのか」を整理するのだそう。何の知識を使って解くかがわかったら、あとは生徒自身が問題に向き合ってひたすら格闘します。
もう一つ大事にしているのが「計算力」と「基礎力で自信をつける」こと。
「エルカミノではいきなり難しい問題を解くことはせず、簡単な問題の量をたくさんこなすようにしています。考えることが楽しくなる問題の目安は8割9割できる教材。できた!という気持ちがいかに思考力を伸ばすか、多くの親御さんに知ってほしいですね」
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