にもかかわらず、5球目も頭部付近へ。バットを放り投げたアマダーは、怒りの形相すさまじくマウンド目がけて突進した。ファーストの福田秀平が止めに入ったが、目を血走らせたアマダーは鎧袖一触で跳ねのけ、逃げる東浜を追う。

 両軍ベンチから選手たちが飛び出し、135キロの巨漢を取り押さえようとしたが、止めるどころか、次々になぎ倒される始末。最後はウィーラーとペゲーロが二人がかりで押さえつけ、ようやく騒ぎは収まった。

 直後、丹波幸一球審が退場を宣告した。アマダーは8月27日の日本ハム戦(Koboパーク宮城)でも上沢直之の内角球に怒り、マウンドに詰め寄るシーンがあったばかり。

 梨田昌孝監督も「Koboパークでの上沢のボールがあったからだと思うけど……。チームは違ったけど、そういうイメージはあったと思う」とフォローしつつも、「でも、ああいうことはできるだけ避けないといけない。退場になってはいけない」と試合序盤での4番退場劇に表情を曇らせていた。

  結局、この日も楽天は元気なく0対2で敗れ、シーズン最多の8連敗を喫したばかりでなく、自力Vの可能性も消滅。まさに「怒りは敵と思え」を痛感させられる結果となった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

著者プロフィールを見る
久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

久保田龍雄の記事一覧はこちら