ノーベル賞学者・大隅良典氏が抱く日本への危機感「人と同じところに発見はない」 (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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ノーベル賞学者・大隅良典氏が抱く日本への危機感「人と同じところに発見はない」

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鈴木顕dot.##朝日新聞出版の本

おおすみ・よしのり/ 1945年、福岡県生まれ。東京工業大学栄誉教授。東京大学大学院理学系研究科博士号取得。ロックフェラー大学、東京大学、基礎生物学研究所などを経て現職。2016年ノーベル医学生理学賞受賞(撮影/写真部・小原雄輝)

おおすみ・よしのり/ 1945年、福岡県生まれ。東京工業大学栄誉教授。東京大学大学院理学系研究科博士号取得。ロックフェラー大学、東京大学、基礎生物学研究所などを経て現職。2016年ノーベル医学生理学賞受賞(撮影/写真部・小原雄輝)

大隅栄誉教授の研究室(撮影/写真部・小原雄輝)

大隅栄誉教授の研究室(撮影/写真部・小原雄輝)

国公立大学 by AERA 2018 (AERAムック)

(朝日新聞出版)

978-4022791689

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「人間社会はITだけで動くわけじゃないし、iPS細胞を研究すれば生物のすべてがわかる、なんてこともありません。すぐれた機械を作ることや、植物の大切な原理を発見することも大事なこと。ヘテロ(多様性)な部分を大事にする精神が必要だと思います」

 研究への公的な補助金も、挑戦的な研究や基礎研究には十分に行き届いていない。そこで大隅さんは2017年8月、ノーベル賞などの賞金1億円を元手に、科学の基礎研究を支援する「大隅基礎科学創成財団」を設立した。「なかなか日の当たらないような研究」を支援したいと語る。

「この人をサポートしたら間違いなくノーベル賞がとれる、というような形の支援は、今の世の中、誰かがやってくれるでしょう。私は、もっと先にノーベル賞が出るような裾野を作りたいと思っています。サイエンスってこんなにおもしろいんだ、と実感できる、そんな研究をサポートする組織を作ってみたいんです」

■“変な人”も包容する 社会の余裕が必要

 大学時代はあまり論文も書かず、真面目な学生ではなかった。「当時はそれでも許された」が、今は効率が重んじられるようになり、大学も社会も余裕を失ったと感じている。

「今の時代だったら、私のような研究者はどこかでスポイルされていたでしょう。大学の先生はどんどん忙しくなり、研究以外のあらゆる仕事もこなせないといけなくなっています。大学というのは、研究以外のことが全然できないような“変な人”も包容する、余裕がある組織であっていいんじゃないかと思います。サイエンスって、効率で測りようがない世界ですから」

 研究者の姿勢も、時代とともに変わっている。近年は、役に立つ研究をやりたい、という志向を持つ若者が多いという。

「数年後に薬を作りたい、健康に役立つ研究をしたい、と言う研究者が増えています。役に立つことはもちろん重要ですが、それをどのくらいのスパンで考えるかが問題です。何が役に立つのか、決定的な評価が下るまでに数十年かかることもある。目に見える、形になるものだけが役に立つ、ということではありません」



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