一方、デビューから先発7連敗、12試合連続勝ち星なしという2つの球団ワースト記録を作りながらも、“13度目の正直”で待望のプロ初勝利を挙げた阪神ドラフト2位右腕・小野泰己も、忘れられない一人だ。

 5月21日のヤクルト戦(神宮)でプロ初先発初登板を果たした小野は、同28日のDeNA戦(甲子園)で3回6失点という内容でKOされ、プロ初黒星。その後、8月15日の広島戦(同)まで7連敗を喫し、阪神のルーキーでは、66年の久野剛司の記録を51年ぶりに更新した。

 さらに同22日のヤクルト戦(神宮)も、4回途中4失点KO。直後、味方が同点に追いついて8連敗こそ免れたが、デビューから12試合連続先発で未勝利というもうひとつの球団ワースト記録を止めることはできなかった。

 周囲から「いつまで投げさせるのか?」の声も上がった。だが、春季キャンプで小野のストレートを見て惚れ込んだ金本知憲監督は、「ずっと使っていけば、必ず勝てる日が来る」と、いささかも信念をゆるがせることなく、12戦で0勝7敗のルーキーを一度も2軍に落とさず、使いつづけた。

 そんな辛抱が報われたのが、同29日のヤクルト戦(甲子園)。13度目の先発のマウンドに上がった小野は、5四球を与え、5回を除く毎回走者を背負うなど、けっして内容は良くなかったが、要所を締めて6回を2安打無失点。初登板から3カ月半、13試合目にして、ついに悲願のプロ初勝利を手にした。

「甲子園で決められて良かったです。野手の皆さんに助けてもらった。感謝しかないです」

 苦しみ抜いた1年目の経験は、必ず2年目に生きることだろう。

 ペナントレース終了間際、DeNAのCS用“秘密兵器”としてド派手なデビューを飾ったのは、高卒ルーキーの細川成也。

 10月3日の中日戦(横浜)、5番ライトで1軍デビューすると、初回に笠原祥太郎からバックスクリーンへ推定飛距離132メートルの特大先制3ラン。プロ野球史上61人目、高卒新人では6人目となるプロ初打席弾だった。これが決勝打となり、チームは3対1で勝利。この日43歳の誕生日を迎えたラミレス監督にとっても、「これ以上考えられないニュージェネレーションのプレゼント」となった。

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「茨城のカブレラ」がついに開花!