明治大は、2017年度に初年度納付金を改定した。たとえば法学部は前年度比8万円増の128万7800円となっている。同大学は次のように説明する。

「継続的に諸改革を実行するためには、安定的な財政基盤の確立が必要不可欠な条件でもあります。経費節減は当然として、学費には極力依存せずに、受託事業や各種補助金など外部資金の獲得等による自助努力をしてまいりましたが、本学のさらなる飛躍のためには学費の改定に踏み切らざるを得ないとの判断に至りました」(明治大のウェブサイト)

 東京経済大は2016年度入学生から授業料を5万円値上げした。その苦しい胸の内を正直に打ち明けている。

「2015年度末での繰越収支差額は14億800万円と赤字幅が拡大する見込みです。これは、収入面においては、少人数教育を推進するため学生数を限定することにより学費収入がこれ以上見込めず、寄付金や経常費補助金などの大幅な改善も見込めない状況で……」(東京経済大のウェブサイト)

 日本女子大では入学金を値下げして、授業料を値上げした。

「本学では2015年度大学入学者から、初年度納入金を減額します。入学金を10万円減額し20万円とし、一方、授業料を各学部とも年度あたり6万円増額いたします」(日本女子大のウェブサイト)

4年間の総額でみると、高くなる計算だ。

 初年度納付金が毎年、少しずつ高くなり、家計をじわじわ苦しめている。こうしたなか、安倍晋三政権が政策の目玉として「高等教育の無償化」を掲げた。受験生を持つ親にとって朗報である。だが、その財源はどこで確保するのか。前途多難だ。

 11月17日、国会の所信表明演説で安倍首相が「高等教育の無償化」の部分を読み飛ばしてしまったことが話題になった。議事録には残っているが、大学授業料問題について解決の困難さを暗示しているようだ。(教育ジャーナリスト・小林哲夫