法学部の初年度納付金(1~18位)。データは「大学ランキング2018」より。編集部調べ
法学部の初年度納付金(1~18位)。データは「大学ランキング2018」より。編集部調べ

 受験生を持つ親にとって、大学の学費は気になるところだ。文部科学省の調べによれば、私立大学の初年度納付金(入学金と授業料とを合わせた金額)の平均額は、文系学部114万3229円、理系学部150万7121円、医歯系学部は478万9736円となっている(2015年度)。『大学ランキング 2018』(朝日新聞出版)では、私立大学の初年度納付金ランキング(2016年度)を、分野別に掲載している。最近の初年度納付金事情について、教育ジャーナリストの小林哲夫氏が解説する。

【表】分野別・大学初年度納付金ランキング

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 国立大学は文系、理系、医歯系を問わず、初年度納付金の額はだいたいどこも同じだ。2016年度の初年度納付金の標準額は、81万7800円となっている。これに対し、私立大学は地域、大学によってその額が大きく異なる。

 初年度納付金が安い大学を一覧にすると、上位には北海道、九州、沖縄の大学が並んでいる。これらの地域の大学関係者によれば、「首都圏や関西圏に比べて地元経済はふるわず地域住民の所得は高くない。それを鑑みての学費設定という側面もある」そうだ。

 宗教系大学に注目すると、仏教系は初年度納付金が安め、キリスト教系は高め、という傾向がデータから見てとれる。

 龍谷大、武蔵野大(以上、浄土真宗本願寺派)、駒澤大(曹洞宗)は、平均をかなり下回る。

 一方、キリスト教系では、たとえば、MARCHの一角である青山学院大立教大は、他大学よりも高い。「ミッションスクールに通う学生はお金持ちだから学費も高い」という話も耳にするが、すべてにあてはまるものではない。なお、キリスト教系でも藤女子大、北星学園大(以上、北海道)、西南学院大(福岡)、九州ルーテル学院大(本)、長崎純心大(長崎)など、北海道、九州の大学はやはり安めに設定されている。

 ここ数年、初年度納付金を値上げする大学がいくつか見られる。

 グローバル化、教育の質の向上、施設の充実などの改革を進めるうえで、諸経費が必要という理由からだ。

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