(c)朝日新聞社
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(撮影/河嶌太郎)
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 先日、フジテレビを代表する番組である「めちゃ×2イケてるッ!」が2018年3月で終了することが発表された。「とんねるずのみなさんのおかげでした」も打ち切られると報じられている。

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「おかげでした」の前身番組である「とんねるずのみなさんのおかげです」が始まったのは1988年。「めちゃイケ」が始まったのは1996年。どちらも長年にわたって人気を保っていた長寿番組だったが、近年では視聴率も下降の一途をたどっていて、何度も打ち切り説が流れていた。今回、それがついに現実のものとなった。

 ネットニュースなどでは「番組が終わったらとんねるずはどうなるのか?」「めちゃイケメンバーで路頭に迷うのは誰か?」などと個々の出演者の今後に注目が集まっている。番組の顔である出演者のことが何かと話題にしやすいのは当然のことだ。

 しかし、個人的には、この2つの番組が終了するというニュースを聞いて、全く別のことを考えた。大げさに言えば、テレビの歴史そのものが変わる瞬間に立ち会っているのかもしれない、と思ったのだ。

「おかげでした」と「めちゃイケ」は、今どき珍しい「王道バラエティ」だった。「王道バラエティ」とは私の造語で、1981年に始まった「オレたちひょうきん族」をルーツとするバラエティ番組の一形式を意味している。その特徴としては「レギュラー出演者の連帯感が強く、チームとして一丸となって番組に携わる」「特定のテーマがなく、企画が毎週変わる」「名物企画や名物キャラが次々に生まれる」といったことが挙げられる。この中でも特に重要なのは「企画が毎週変わる」という部分だ。

 例えば、クイズ番組には「クイズを解く」という番組の軸がある。番組が長く続いていくうちに、クイズの中身や解答者が変わることがあっても、テーマそのものは変わらない。しかし、「王道バラエティ」にはそのようなテーマが初めからない。「見る人を笑わせる、楽しませる」というのがすべてだ。逆に言うと、「そのためには何をやってもいい」ということになる。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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