「難治がん」の記者 思い立った時、自分に確かめる「俺は死ぬんだぞ?」のつぶやき (1/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「難治がん」の記者 思い立った時、自分に確かめる「俺は死ぬんだぞ?」のつぶやき

連載「書かずに死ねるか――「難治がん」と闘う記者」

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野上祐さん

野上祐さん

病室で隣の男性と自分を隔てるのは薄いカーテンだけだった(※イメージ写真)

病室で隣の男性と自分を隔てるのは薄いカーテンだけだった(※イメージ写真)

 働き盛りの45歳男性。朝日新聞記者の野上祐さんはある日、がんの疑いを指摘され、手術。厳しい結果であることを医師から告げられた。抗がん剤治療を受けながら闘病中。

*  *  *
「地獄だな、これは」と思った。

 都内の病院に入院していた3カ月前のある夜。隣のベッドから、オーッ、オーッと叫ぶようにせき込む声が聞こえてきた。

 ナースコールで駆けつけた看護師に、隣の男性がかすれ声で「痛い……」と訴える。

「ここ、痛いですか?」
「大丈夫……」
「あ、大丈夫ですね。何かあったら呼んでください」

 そのまま去っていく足音が聞こえて、びっくりした。

 え? 「ここ」以外に痛いところがあるってことじゃないの?

 それで看護師が済ませたのには、何か理由があるんだろう。だがその中身がわからないから、隣の男性にとっての地獄が耳の向こうに広がっているように感じた。


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