進行すると特に階段を下りるのがつらくなり、ひざを曲げたり伸ばしたりしにくくなるため、しゃがむのが困難になり、やがて正座ができなくなります。 

 軟骨が変性していくと、その下にある骨も変性、変形していき、関節の骨と骨の間が徐々に狭まり、一部が直接ぶつかるようになります。すると立っているだけのときや安静時、夜間にも痛むようになります。コリコリ・ガリガリといった音がすることもありますが、それは骨と骨がぶつかっている音です。 

 骨同士がぶつかって骨がすり減るようになると、骨はその分を補おうとしますが、元どおりには再生できず、横にはみ出した形で増殖していきます。これを「骨棘(こつきょく)」と呼び、増殖するとひざは節くれだっていきます。 

 いよいよ自力で歩けなくなってくると、むしろ痛みは感じにくくなっていくこともあります。

■放置して歩かなくなると悪循環を招くことも 

 一度変形した関節はもとには戻りません。しかし運動療法や生活の工夫などによって症状を和らげ、進行を防ぐことはできます。ひざの変形が進むとこうした保存療法の効果が出にくく、手術を検討せざるをえなくなってくるため、早めに整形外科を受診することが大切です。 

 変形性膝関節症は徐々に進行していくため、原因がわからないまま市販の湿布薬などで対処してしまい、受診のタイミングが遅れることがあります。受診しないまま、痛みのためにだんだん歩かなくなる、すると筋力が落ちて体重も増えるといった悪循環を招くこともあります。 

 痛みを感じるようになってから1週間近く様子をみても、痛みが続くとき、もしくはいったんは症状が落ち着いても再び痛みが出るときなどのタイミングで、整形外科を受診しましょう。 

 変形性膝関節症はX線検査のほか、問診や視診、医師が手を添えてひざを動かし可動域や関節部の腫れなどを診る触診などによって診断できます。X線画像では変形の程度や骨棘の有無を診断することができますが、画像による進行度と症状の程度は、必ずしも比例しません。つまり画像上では変形がかなり進んでいても痛みはそれほど感じていないといったケースもあるのです。 

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