自治体や職場の健診を定期的に受けることはもちろん重要ですので、ぜひ受け続けてください。ただし、それだけで安心し過ぎると、かえって命の危険を招きかねないことを忘れないでください。目安として40歳を過ぎたら、「血管」がわかる検査を受けることをおすすめします。

 血管の老化を知り、異常や病変を見つけるためによくおこなわれているのは、PWV検査やABI検査、FMD検査、頸動脈超音波検査、CT検査、MRI検査です。
 
 PWV検査では、血液が心臓から送り出されたときにできる「波」である脈波が、手や足に伝わる速度を測定します。弾力性がある動脈は脈波を吸収して速度が落ち、動脈硬化が進んでいると吸収されずに速くなります。
 
 ABI値は上腕部と足首の血圧を比較して、本来、上腕部より高いはずの足首の血圧が低下していることで足の動脈硬化(閉塞性動脈硬化症)を見つけます。
 
 一方、血管を守る物質であり、血管の内皮細胞が放出するNO(一酸化窒素)量を、血管拡張の程度をもとに測るのがFMD検査です。血管があまり拡張していないと、内皮細胞をはじめとする血管の老化が進んでいることになります。また、首の動脈である頸動脈は動脈硬化が起こりやすく、全身の血管の状態をよく反映することが知られています。この頸動脈の状態を超音波装置でチェックすると、血管壁の状態(厚さ、変性の有無など)がわかります。このほかCT検査やMRI検査なら、画像で血管の様子(狭窄[きょうさく]、閉塞、瘤[りゅう]形成など)をチェックできます。 

(取材・文/近藤昭彦)