血液検査を中心にした一般的な健診では、血液の状態はわかっても、血管の状態まではわからない (※写真はイメージ)
血液検査を中心にした一般的な健診では、血液の状態はわかっても、血管の状態まではわからない (※写真はイメージ)

 脳や心臓をはじめ、全身の臓器は血管でつながっています。血管の状態は、全身の健康を映す鏡のようなもの。実は、血管の老化はからだの老化そのものなのです。発売中の週刊朝日ムック「脳卒中と心臓病いい病院」から、血管の働きを解説します。

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 若く健康な血管はしなやかで弾力があります。しかし、老化が進むにつれて、異常に厚く硬く、もろくなっていきます。これが動脈硬化です。
 
 動脈硬化が進み、厚く硬くなった血管をノックすると、カンカンと硬い机をたたいたような音がします。このような血管は、外科手術の際に器具で挟むと、もろく崩れてしまうこともあります。当然、血液を流すという本来の力が失われ、血液を全身に行き渡らせることが困難になります。

 動脈硬化が進むと、血管壁が膨れて血液が流れる部分が狭くなっていき、やがて詰まってしまいます。これが脳の血管で起これば脳梗塞(こうそく)、心臓の血管で起これば心筋梗塞となるわけです。

 このうち心筋梗塞は、いったん発症してしまうと、3分の1の人はその場で亡くなり、3分の1の人は命をとりとめても、日常生活に支障が出るようになり、元の生活に戻れるのは、せいぜい残りの3分の1の人といわれています。

 動脈硬化そのものにはほとんど自覚症状はありません。「元気」なまま、いきなり心筋梗塞で命を落としたり、脳梗塞や下肢動脈閉塞を発症したりしてさまざまな障害を抱えた生活に陥るのです。

 動脈硬化が招く突然死を防ぐには、少しでも若いうちから、血管の老化の進み具合、つまり血管年齢の現状を知り、生活習慣を見直すことが大切です。「年だから仕方がない」と思っていませんか? 実は、血管の若返りは何歳からでも可能です。

■定期健診では見えてこない血管の状態と病気のリスク

 心筋梗塞で病院に運ばれた患者さんが、「定期健診では異常はなかったのに」と嘆くケースが後を絶ちません。血液検査を中心にした一般的な健診では、血液の状態はわかりますが、血管の状態まではわかりません。
 

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