早稲田実・清宮幸太郎は巨人の救世主となれるか (c)朝日新聞社
早稲田実・清宮幸太郎は巨人の救世主となれるか (c)朝日新聞社

 今年も運命のドラフト会議が迫ってきた。甲子園を熱狂させた“あの選手”は一体どのチームに行くのか、野球ファンは固唾を飲んで見守っている。そこで、ニュースサイト「AERAdot.」では、年間300試合以上を現地で取材する、野球ライターの西尾典文氏に球団別のおすすめ選手を選んでもらった。今回は今季惜しくも2ゲーム差でCS進出を逃した、セ・リーグ4位の読売ジャイアンツだ。

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 11年ぶりのBクラスに終わり、初のクライマックスシリーズ進出を逃した巨人。最大の課題は野手陣の世代交代だ。野手は世代交代が進まず、安定しているのは坂本勇人だけ。村田修一を自由契約にしたのは大きな決断だったが、数年後の布陣が描きづらい状況だけに長く中軸を任せられる選手が必要だ。投手陣は先発が安定しているのが強み。田口麗斗、畠世周と若手も育っている。外国人頼みのリリーフ陣と数年後に菅野智之がメジャー移籍という可能性を考えると楽観視はできないが、野手に比べると補強の緊急度は低い。

【おすすめ選手・その1】
清宮幸太郎:早稲田実 一塁手 184cm 101kg 右投左打

 清宮本人のことを考えるとDHのあるパ・リーグの方が早くから出場機会を得るチャンスがあることは間違いないが、巨人にとっては今の閉塞感を打破するためには、やはり超大物が必要と考えて、一番に推薦したい。サードに岡本和真、ファーストに清宮が入る布陣を早めに組むことができれば一気に将来は明るくなってくる。そのためにも、もし獲得できた場合は、とにかく我慢して抜擢することが重要だ。村田を自由契約にしたことも世代交代への本気度が現れており、その象徴的存在としても抽選を恐れずに指名してもらいたい。

【おすすめ選手・その2】
増田珠:横浜 外野手 181cm 83kg 右投右打

 貴重な高校生の長打力のある外野手。長野久義、陽岱鋼に全盛期の力がなく、23歳以下の外野手に育成選手しかいない状況を考えるとぜひとも獲得したい選手だ。増田の良さは走攻守どのプレーにも大きな欠点がないこと。リストの強さを生かしたバッティング、積極的な走塁、速くて正確なスローイングはいずれも高校生ではトップレベルでプロでも失敗する要素が極めて少ない。数年後のレギュラー候補として期待できるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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