というのも、かつて韓国では代表に選ばれることが“憧れ”であり、代表で活躍してこそ選手の知名度と価値が上がり、選手たちもそれをモチベーションにしてピッチで死力を尽くしたが、昨今は代表に選ばれずとも中国や中東から巨額のオファーが届き、定位置を確保せずとも欧州クラブに席を置いているだけで特別視されるだけに、代表でプレーすることへの切実さが希薄になったように映るのだ。ワールドカップに2度出場している主将キ・ソンヨンが「国を代表して戦うのに基本的なことができていない。安易な姿勢で最終予選に臨む選手がいる」と、厳しく叱咤せねばならないほどでもある。

 その一方で、ミスや失言をしようものなら選手たちはメディアだけではなくSNS上でファンから叩かれ、酷いときには人格否定にさらされるため、プレーも気持ちも消極的になり、それがさらなる批判の誘い水となる悪循環。いつしか選手たちにとって、韓国代表で戦うことがまるで“罰ゲーム”のようなものとなり、メディアやファンの視線も冷たい。辛うじてロシア行きを決めて歓喜すれば『ふがいない。恥を知れ』と叩かれ、その冷めたムードを察知したKFAも9大会連続ワールドカップ祝賀行事を自粛せねばならなくなるほど、韓国代表のステータスは低下してしまっているのだ。

 果たして韓国代表は、その誇りとステータスを取り戻すことができるだろうか。本番のロシアワールドカップまであと9カ月。自らの存在意義と格闘する日々は続く。(文・慎武宏)